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キャリア溝部社長「“働き方改革”の強い追い風が吹いている」

注目のIPO会社トップに聞く

佐久間 あすか
「東日本大震災時にも弊社のスタッフは全員、徒歩や自転車に乗るなどして派遣先へ行った」(キャリアの溝部正太社長)
6月に東証マザーズへ新規上場したキャリア (6198)は2009年設立。シニア人材の活用に向けたコンサルティングや高齢者派遣を手掛ける「シニアワーク」と、介護施設へ看護師や介護士を派遣する「シニアケア」の2つが事業の柱だ。現在は全国20カ所に拠点を構える。シニアケア事業の売り上げが全体の6割超を占める(前2015年9月期末)。今16年9月期売上高は前期比約28%増の74億円、営業利益は同54%増の4億円を見込む。安倍首相の掲げる「一億総活躍社会」実現に向けて、女性や高齢者の就労支援が重視される中、同社の収益環境には変化があるのか。溝部正太社長に今後の事業戦略などを聞いた。

「めちゃくちゃ働いたが、業界は未成熟だった」

 ーーかつて一世を風靡した人材派遣会社のグッドウィルに在籍していました。

 大学卒業後、すぐにグッドウィルの子会社へ入社し、最初は千葉の支店に配属された。今考えると、何も知らないまま、入ってすぐに支店長を任されるというすごい環境だった。

 当時は人材業界の成長が本当に著しかった頃。今でも千葉へ行くとなんだかソワソワする。派遣法もさほど厳しくなく、「登録しているスタッフを早く現場に行かせなければ」というめちゃくちゃな時代だった。

 12月始めにある問題が発覚。その連絡で夜に起こされて仕事に行ったまま、気がつくと自宅に帰ったのは年末ということもあった。寝ないほど忙しい毎日で、帰宅したら電気も水も止まっていた……。冷蔵庫を開けると、中が凍っていた。それぐらい寒い部屋だったのを今でも覚えている。

 チャンスもたくさんもらって死ぬほど働いた。しかし、振り返ると、業界全体が未成熟のまま、ハイスピードで利益だけを追い求めてしまったように思う。会社はこうして大きくなり、こうして消滅する、という状況を目の当たりにした。08年のリーマンショックをきっかけに私も含めて業界全体が反省したのは、「雇用に対してあまり責任をとっていなかったのではないか」ということ。

 賃金面も含めて安定した生活を働き手に提供できるような環境を作らなければ、根本解決にはつながらない。世の中も良くならないだろう。従来の人材業界の企業とは違う社風や文化を築き上げたい。

 ーーリーマンショックが転機だったのですね。

 まさにそうだ。これからは「仕事の総数が少ない中で派遣の依頼を獲得する」という営業ではなく、「雇用を増やしていく」という提案をしていかなければ難しい。

 前の職場に身を置いた頃から、高齢者雇用の市場は大きくなると確信。ビジネスチャンスを感じて10年ぐらい前にシニアの派遣事業を立ち上げた。当初は受け入れる企業側にシニアの就労への抵抗がかなりあった。企業には高齢者に働いてもらうメリットを提示するとともに、高齢者の働きやすい環境を整えていくことが必要だった。高齢者が対応できるような業務のプロセスを提案し、それによって企業の人材不足解消を図ろうと取り組んだ。

ーーシニア活用の成功事例を蓄積し、他社にも提案していった。

 そう。リーマンショック直後は成功例を積み上げるのに時間がかかったが、13年から「シニアワーク」事業が急激に伸びた。コールセンターでのシニア活用が、高く評価されたからだ。電話口の高齢者からの質問にスムーズに対応できるし、「年代が近い」という安心感も相手にあるのだろう。今では、コールセンター業界全体でシニアの活用が広がっている。

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キャリア (6198)

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