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過去最高の「バフェット指数」は割高サインか?

"投資の神様"が参考にする指標の見方

田渕 直也

 前回は、大きなトレンドで見ると米株が「上がりすぎ」と考える必要はないことを述べた。今回は、バフェット指数とシラーPERという二つの代表的な長期バリュエーション指標に基づいて、米国株が果たして割高なのか否かを見ていこう。

 バフェット指数は株式市場の時価総額をGDPで割って算出する。”投資の神様”ウォーレン・バフェットが長期的な株式のバリュエーションを判断する際に参考にしているといわれており、一般には倍率が1を超えると株価の大幅な調整が起こりやすいとされている。2000年のITバブル崩壊も、2008年のリーマンショックも、まさにそうだった。

 そのバフェット指数は、現在米国で約1.5倍と、過去最高の水準にまで上昇している(図①)。米国の株価水準が割高と見なされる根拠の一つはこれだ。GDPに対する上場企業の利益の割合がほぼ一定になると考えれば、株式時価総額とGDPの比率も長期的に見れば安定しているはずである。だとすれば、この指数は株式の長期的なバリュエーションを測る適切な指標となりうる。

 ところが、図①のとおり、実際にはこの比率は、一定水準で安定的に推移しているのではなく、過去数十年にわたって一貫して上昇してきているのである。現在の倍率は、そうした長期的なトレンドラインよりもさらに高くなっており、「GDPの伸びに対して、株価の上昇スピードがかなり速い」と結論付けることはできる。しかし、「倍率が高くなっているから株価は下落に転じる」という結論に結びつけるのは早計だ。見方によっては、「指数がトレンドから大幅に上方かい離した1990年代後半と比較すれば、まだ株価には上昇余地がある」と言うこともできるからだ。

 もっとも、株価が上場企業の利益水準を反映するものである以上、GDPに対する株式時価総額の比率が永遠に上がり続けることは考えにくい。したがって、この指数の上昇トレンドがどこかで頭打ちになることはありえる。だが、それが近々に起きると考える根拠は乏しいということだ。

 一方のシラーPERは、株価を一株利益で割って求めるPER(株価収益率)を少し修正したものである。PERの分母である一株利益を、直近の数字ではなく過去10年平均を使うという点に特色がある。単年度の業績は、どうしても事業環境やブームの影響を受ける。10年平均の利益なら、そうしたブームの影響やノイズを取り除いて、企業の真の実力をより的確に示すだろう。だとすれば、株価は長期的に見て、その真の実力を反映した水準に収れんすることになるはずだ。

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