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投資信託の基準価額に対する「誤解」とは?

1万円から6万円になれば割高?

鈴木 雅光
基準価額が高いほど割高?(写真:taa/PIXTA)

 投資信託の「基準価額」には、ある種の誤解がある。難解なものをなんとか誰にでも理解できるようにしようとして、実は本質と全く異なる説明になってしまったということの典型例といってもよいだろう。

 「基準価額は、株式で言うところの株価みたいなものです」

 基準価額についてこのように説明している文章は結構多い。たしかに、投資信託を購入・解約する際には、基準価額に受益権口数を掛けて購入する際に払い込む金額、解約によって受け取る金額を計算するので、そう説明されると納得するだろう。

 しかし、株価と基準価額は根本的に異なる。まず、株価はマーケットにおける買い手と売り手の需給関係によって決まる。これに対して基準価額は、需給関係によって決まるものではない。

 基準価額とは、「受益権1口あたりの純資産総額」のことだ。純資産総額は、ファンドに組み入れられている株式や債券といった資産の時価総額である。そして、組入資産の時価総額を受益権口数で割ることによって、基準価額が割り出される。

 また、株価はマーケットの需給関係によって決まり、マーケットが開いている時間中、常に動いている。これに対して基準価額は、1日に1回確定する。具体的には、投資先であるマーケットの取引が終了した後で、組入資産の時価総額を計算し、それを受益権口数で割って計算される。基準価額は、あくまでもファンドの組入資産の時価総額を示すものであり、受益証券の需給関係によって決まるものではない。ここまでの説明で、投資信託の基準価額が、株価とは似て非なるものであることが、お分かりいただけたかと思う。

 そして、基準価額にはさらに大きな誤解がある。それは、基準価額の水準が高いと、「割高」と思う人が多いことだ。大半のファンドの新規設定時の基準価額は1万円となっている。そこで基準価額の水準に応じて何本のファンドがあるのか調べてみた。対象は追加型株式投資信託で、DC専用、SMA専用、ETFを除く4579本のうち、1万円台が圧倒的に多く2358本、次いで1万円未満が2054本ある。両方を合わせて4412本だから、現在運用されている追加型株式投資信託の基準価額は、ほぼこの水準に集約されているといってよい。

 逆に、2万円以上になると本数は激減する。2万円台こそ139本あるが、5万円台、6万円台になると、それぞれ1本ずつだ。

 さて、6万円の基準価額を高いと思うか、それとも安いと思うか。おそらく割高と考える人はいると思う。1万円の基準価額で運用がスタートし、それが6倍以上になったのだからさぞや割高だろうというわけで、実際、基準価額が2万円、3万円になると割高感を警戒して資金が入って来なくなるという話をよく聞く。

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