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ファナック「IR頑張りますっ!」宣言だけで、なぜ爆上げ?

メガトン級の株価反応で得た教訓

岡村 友哉
ファナックのIR姿勢に対するアナリストからの評価はこれまで芳しいものでなかったが……(撮影:梅谷秀司)

 「4月に株主との窓口になる部署をつくる」と社長が発言したとの報道で先週末、東証1部のファナック(6954)の株価が爆上げした。IR(投資家向け広報活動)強化のための部署をつくったことでかかる年間コストなど、今2015年3月期売上高6882億円、営業利益2680億円見通しの超高収益企業、ファナックにとって痛くもかゆくもない話。

 それでも、同報道を受けたファナック株は前日比で13.2%も上昇。これ、時価総額に換算したら7500億円膨らんだわけだ。なんというオイシイ話……これぞ“期待に働きかける”で株価が先に上がってしまう好例である。

 だからといって、世のオーナー社長の皆様に向けて、「ファナックのまねしてみたらどうですか?」というような話でもない。これ、ファナックだから爆上げしたのである。ファナックのホームページを見ればわかるが、ファナックはIRに前向きではなかったし、それを投資家は皆、知っている。多くの上場企業が決算後にアナリスト説明会を開くが、ファナックは11年3月期で廃止したほどである。

 そんなファナックのIR姿勢を数値化したこんなデータがある。20年前から、日本証券アナリスト協会ディスクロージャー研究会が、「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」という制度を続けている。東証1部で各セクターの時価総額上位を基準に選定した251銘柄を、①経営陣のIR姿勢等、②説明会等、③フェアー・ディスクロージャー、④コーポレート・ガバナンス、⑤自主的情報開示の5項目でそれぞれ採点し、100点満点で点数化するというものだ。採点するアナリスト数は延べ521名に上り、調査データとしての信頼性は確保されたものといえる。

 最新の平成26年度版で、ファナックについた点数は「18.8点」だった。これ、全251銘柄で断トツ最下位である。ブービー賞の250位はコンピュータソフト業種のオービック(4684)だが、ファナックはそのオービックの35.4点をはるかに下回る点数である。

 参考までに、同じ機械セクターでいちばん点数の高いのがコマツ(6301)の86.0点。全体の平均点は70点前後のため、ファナックはいわゆる赤点というやつだ。筆者も学生時代に期末テストで30点台をよく取っていたが、さすがに18点はなかった記憶がある。

 18点のファナックだからこそ、「IRの部署作ります」で株価も跳んだだけの話。とはいえ、株主還元に限らず、情報開示の重要性も再確認する大きな話題だったのは間違いない。

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