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歴史データで予測、大荒れ2017年相場はこうなる!

あれから20年、77冊読破した男の「深イイ話」(96)

渡部 清二
2017年01月04日
戦後の勝率を見ると西暦下一ケタが「7」の年は16.7%と最も低く、ブラックマンデーがあったのも1987年の「7」の付く年だった(2017年東証大発会、撮影:尾形文繁)

 新年相場が始まった。今回は「大発会に考える2017年の相場展望」を書いてみたい。結論を先にいえば、2017年は波乱続きで日経平均株価は年末にかけて下落するものの、企業業績は全体として回復局面に入り、テーマや個別企業の選別が重要ということだ。

 まずは先月発売された『会社四季報』2017年1集(新春号)の決算業績集計表から今期の業績予想を確認すると、足元では売上高、利益ともに減少する「減収減益」が加速している。具体的な数字は、3219社合計の売上高は2.8%減収、営業利益は2.6%減益で、3カ月前の秋号と比較するとそれぞれ1.2%ポイント、0.1%ポイント悪化している。

 もっとも、これら企業の80%は2月または3月決算のため、「今期」も残すところあと2~3カ月となり、市場の関心は今期の結果よりも「来期」の予想に向かうと考えられる。来期の業績予想を同じく3219社合計で見ると、売上高は4%増収、営業利益は9.8%増益と、売上高も利益も増加する「増収増益」に転じる見通しだ。つまり業績は不調なマイナスから好調のプラスに大転換する。業種別で言えば変化率の大きい「輸送用機器」「鉄鋼」「精密機器」などが注目だろう。

 次に年間のイベントを確認しながらテーマを探っていきたい。

 私は2017年をひと言でいえば「トランプ始動と選挙ラッシュの年」ととらえている。トランプ氏の影響については、コラム91「検証!米大統領選後にやってくる大相場の中身」で詳しく書いているのでそちらを参照していただきたいが、過去を検証すると、時の政権が進める政策に沿って株式市場のテーマも決まっているため、トランプ政権の政策の方向性と執行状況をしっかり確認することが重要である。トランプ氏の任期である今後4年もしくは8年間にわたり、銘柄を大きく外さないようにしたい。

 選挙については、早ければ2月とうわさされるイタリア総選挙を皮切りに、3月オランダ議会選、4~5月フランス大統領選、7月東京都議選挙、そして9月のドイツ連邦議会選挙と続く。時期は未定だが韓国大統領選も控えている。オランダとフランスはどちらも極右政党が支持を拡大しており、結果次第ではEU離脱の議論も巻き起こりそうだ。

 選挙の結果次第で世の中の流れが大きく変わることは、昨年11月の米大統領選挙のトランプ氏勝利で、誰もが目の当たりにした。選挙ラッシュの2017年は、昨年に続き世界的な波乱が起きる年と肝に銘じておく必要がある。

 さてイベントや制度の改正については、気になるものをいくつか挙げてみたい。

 1月は個人型確定拠出年金、通称「iDeCo(イデコ)」がスタートする。iDeCoとは、公的年金制度に加入する60歳未満のすべての人が加入でき、自己の判断で運用することで成果が大きく変わる私的年金だ。税制メリットも、①掛け金全額が所得控除になる、②通常は課税される運用益も非課税で再投資される、③受け取るときも大きな控除がある、の三つが挙げられる。

 個々人の豊かな老後生活をサポートするだけでなく、多くの人が株式市場に関心を持つきっかけになる可能性がある。四季報新春号コメントでは、電話やWebを使った顧客対応代行を展開するりらいあコミュニケーションズ(4708)は、「確定拠出年金業務を専門に行う拠点を新設」とあり、同制度の恩恵を受けるようだ。

 3月はエイチ・アイ・エス(9603)の子会社ハウステンボスが運営する「変なホテル」の2号店が千葉県浦安市に開業する。「変なホテル」とは、先進技術を導入し、ワクワクと心地よさを追求した、ギネスも“The first robot-staffed hotel(初めてロボットがスタッフとして働いたホテル)”として世界記録に認定するロボットホテルだ。

 フロントでは多言語対応のロボットがチェックインなどの手続きを行い、クロークではロボットアームが荷物を預かり、手荷物はポーターロボットが部屋まで運ぶというホテルだそうで、3カ月前の四季報秋号では「3年で100店体制目指す」となっていて、ここからの急展開が期待できる。

 4月はJ.フロント リテイリング(3086)が運営する松坂屋銀座店の跡地に「GINZA SIX」が開業する。オフィス、能楽堂、屋上庭園や観光機能のほか約240の世界のブランドが集結するこの施設のコンセプトは「Life At Its Best 最高に満たされた暮らし」。「五感全てを満たすモノやコトが集まり、五感を超越した喜びや満足など新たな価値を提案する、6つ星級の価値をもった施設」(同社プレスリリース)になるといい、シチズン時計(7762)も「【旗艦店】銀座商業施設に大型店を出店。ブランド価値向上と訪日客需要深耕狙う」(四季報新春号)らしい。J.フロントは秋をメドに、パルコやTOHOシネマズが入居する松坂屋上野店南館もグランドオープンさせる予定で注目だ。

 4月は都市ガスの小売り自由化もスタートする。昨年の電力小売り自由化ほどの盛り上がりは見えないが、流量計など流体計測機器最大手のオーバル(7727)は「自由化控えガス流量計にも動意」とコメントされており、ニッチなところで恩恵を受ける企業が出始めている。

 ほかにもいろいろなテーマがあるが、すべては紹介できないので、それぞれでテーマと関連企業を探して欲しい。

 続いて相場格言や歴史(過去のデータ)を参考に2017年の株式相場を占ってみたい。

 2017年「酉(とり)年」は、相場格言では「申酉(さるとり)騒ぐ」で、格言からも今年は波乱が予想される。さらに戦前の指南本によると、60年のサイクルである十干(じっかん)十二支にも格言があり、今年の「丁酉(ひのととり)」は「寄付高し昼より安し」となっている。これは年央から後半にかけて株価が安くなることを示唆している。

 今度は株式市場の代表的な指標の「年間勝率(年間プラスは勝ち、マイナスは負け)」と「年間騰落率平均」を、「西暦下一桁」と「干支」に分けて検証してみた。条件は以下のとおりだ。

・1878(明治11)年の東京株式取引所開設以降138年のデータを使い年間騰落を計算
・株価は、戦前は「東京株式取引所」修正株価、戦後は日経平均を採用
・全期間は1878年から2016年末、戦後は1949年から2016年末までとする

 この表を見ると、西暦下一桁「7」の年の戦後勝率は16.7%と最も低く、下一桁7の2017年は期待薄だ。具体的には1勝5敗だが、唯一1勝の1987年は秋にブラックマンデーの大暴落が起きた波乱の年だった。

 ちなみに「5」の年は全期間で全勝、「9」の年は戦後全勝かつパフォーマンスも高いので2019年は期待できそうだ。

 では干支別ではどうかだが、「酉年」の勝率は戦後80%と高い。全期間でも勝率は70%(7勝3敗)と上々だが、気になるのは3敗のうち2敗は何と「丁酉」であることだ。

 チャートを見ると年央から年末にかけて株価が下がっていて、格言どおりの「寄付高し昼より安し」のように見える。

 最後にあらためてまとめると、2017年「丁酉年」は波乱の年でチャンスでもあるが、日経平均の下落は要注意で、テーマや個別企業の選別が重要といえそうだ。

渡部 清二(わたなべ・せいじ):大手証券会社に23年間在籍。中堅企業、個人投資家向けの資産コンサルティング、世界の運用会社向けの日本株セールスに携わる。2014年四季リサーチ設立、2016年複眼経済観測所設立、所長。
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