会社四季報 株アプリ(iPhone版)をリリースしました!

リード役がわからぬジャスダック21連騰の謎

「すげ~新興株市場」と言えるのか…

岡村 友哉
2017年03月14日
中小型株に対する強気派は日経ジャスダック平均の連騰を根拠に挙げているようだが…(撮影:尾形文繁)

 先週末10日の日経ジャスダック平均株価(以下、ジャスダック平均)の終値は3064.23円だった。前日比0.21円高、上昇率は0.00685%。ごくわずかだが、記録がかかっていただけに細かいことは気にすまいである。これにて、2004年1月27日まで続いた13年前の21連騰に並んだからだ。

 先週末は同時点でジャスダックの時価総額2位だったユニバーサルエンターテインメント (6425)が、海外での株式売り出し発表を理由に8%以上も急落していた。それでもジャスダック平均はプラスで終えたのだから、たいしたものだ。

 ただ……恥ずかしい話、いまだにジャスダック平均のことがわかっていない。なぜ21連騰なんて起きたのか? 何が上がって寄与したのか? きっちり理由を示せる材料がないからだ。ジャスダック平均の算出要領(「日経平均プロフィル」より)によれば、「構成銘柄(全ジャスダック上場銘柄)の株価を“みなし額面換算”したうえで単純平均し、“除数”で割って算出する」と書いてある。

 日経平均株価と同じ仕組みだが、問題は個別銘柄の“みなし額面”が開示されていないことにある。このため、何が上昇に寄与しているのか、下落に寄与したのか、さっぱりわからないのである。さっぱりわからないまま、ジャスダック平均は21連騰という記録的快挙を成し遂げ、その事実を見たかぎりでは「あ~、そうですか」的な無味乾燥な気持ちしか広がらないのは筆者だけだろうか?

 くどいようだが、さっぱり騰落の根拠がわからないのである。本コラムを書いている13日時点では、22日ぶりの下落になりそうな気配だ。ただ、平均株価ということは「値がさ株の影響が大きいんだろう」というざっくりした推測の下、ジャスダックの個別株を見てみると違和感がある。

 ジャスダック上場の値がさ株には、株価が1万円を超えるアイビー化粧品 (4918)という銘柄がある。同銘柄が後場時点で前日比2800円くらい急騰(上昇率は一時20%超)する場面があった。それでもジャスダック平均は反落。この急騰は寄与していないのだろうか?というか、アイビー化粧品のみなし額面はいくらなのだろうか? さっぱりわからないのである。

「海外勢の資金流入」は大げさ

 指数計算の仕組みがわからないものを、「13年ぶりの21連騰!」と言われたからといって、「すげ~新興株市場!」となるものだろうか? ただ、足元の市場関係者の論調を見てみると、この仕組みがわからない“謎の指数”の上昇を、中小型株強気の根拠としているフシがある。

 「個人投資家の資金を集めている」的な解説だけでなく、「海外投資家の資金も流入し始めている」といった飛躍的解釈もあるようである。指数の仕組みはわからないが、せめて、この21連騰期間中の需給だけでも振り返り、この21連騰の内実を知っておきたいと思う。

 この21連騰の起点となったのは2月10日である。そこから3月10日まで21連騰したわけだが、この期間の投資家動向で東証が開示しているのは2月第3週(2月13~17日)から3月第1週(2月27日~3月3日)の3週間分だ。投資家別売買動向をまとめると以下のようになる。

 この期間で買いの筆頭だったのが外国人投資家。「外国人の資金流入」を裏付けるようなデータである。ただ、金額を見てもらえばわかるが、さすがに大げさな言い回しだろう。実際、この黄金の21連騰中、ジャスダックの売買代金がさほど増えたわけではない。

 21連騰中の1日当たり売買代金の平均は550億円(最小431億円~最大709億円)である。2016年の年間平均が482億円で、15年は同725億円。連日上がっているといっても、積極的に関与した投資家が増えていたとは到底思えない。

 ほかの投資家の動きを見てみよう。個人投資家や投資信託は売り越しで、資金流入というよりは利益確定売りを先行させていたことが想像できる。その中で、東証1部と決定的に異なるのが1点。金融機関(国内の機関投資家)がわずかだが買い越しとなっている点だ。

 同じ期間、日本株全体でいえば金融機関は「1709億円も売り越し」となった。この時期の日本株が上値の重い理由として、「国内の機関投資家による年度末接近に伴う売り」という解説をイヤというほど耳にしていると思う。この国内投資家の売りが「ジャスダック市場にはなかった」、というのが(東証1部と逆行して)地合いが堅調だった根拠、と断定できそうだ。そもそも国内の機関投資家は、ジャスダック銘柄の手持ちの売り玉がほとんどなかったのだろう……。

 「21連騰」という記録ばかり独り歩きしているが、実際のところは「閑散に国内機関投資家の売りナシ」だっただけ……ではないだろうか。つまり、今までどおりの需給環境であり、いつもどおりだっただけではないかということ。その中で、算出根拠の不確かな指数が計算上、21連騰になったというだけではないだろうか。前日比プラスの偶然が、そんなにも続いたこと自体は“奇跡的”だったが……。

(おしまい)

※株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。
Copyright Toyo Keizai, Inc., all rights reserved.
Copyright Quants Research, Inc., all rights reserved.
東洋経済新報社 クォンツ・リサーチ