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「お米」株主優待銘柄、最もお得な探し方

あれから20年、77冊読破した男の「深イイ話」(101)

渡部 清二
2017年03月15日
株主優待の王様といえばやはりおコメ。では今、最もコスパの高い銘柄は何か(freeangle / PIXTA<ピクスタ>)

 3月末の年度末が近づいている。日本の上場企業の約7割が3月決算のため、今月末は1年のうちで最も重要な時期となる。

 というのも、決算期の3月末の株主に対して配当金や株主優待を受ける権利や、6月中旬以降に開催される株主総会に出席する権利が発生するからだ。3月末の株主になるには、今年は3月28日(火)までに、「現物株」で希望の銘柄を買っておく必要があるので注意してほしい。ということで今回は、「年度末は配当と株主優待のダブルチャンス」というテーマでお伝えしたい。

 その前に株主総会についても少し言及すると、「可能なかぎり株主総会には出席してほしい」というのが私の思いである。その理由は、投資家が、投資している企業の全役員と対面できる唯一の機会が株主総会だからだ。総会に出席すればその会社の雰囲気を感じ取ることができ、中長期的に応援できるかどうかの判断材料になりえるからである。株主総会のチェックポイントについてはいずれお伝えしていきたいと思う。

 さて本題に戻り、まずは配当についてだ。近年、上場企業は株主還元を重視し、配当を増やす傾向にある。昨年2015年度の配当総額は、過去最高だった2014年度を上回り、初めて10兆円の大台を突破した。

 3月決算が上場企業の70%を占めるので、単純計算では配当総額10兆円のうち7兆円が、3月決算企業によって支払われたことになる。年に2回配当を出す「中間配当」の実施率が50%超であることを考慮しても、最低3.5兆円以上の配当金が3月末に支払われる計算だ(※ただし税金は考慮せず、実際の配当受け取りは株主総会後の6月下旬ごろ)。3.5兆円はあおぞら銀行(8304)の資金量を上回る規模であり、それなりに大きい。

 ところで現在の東証1部全銘柄の加重平均配当利回りは1.9%前後だが、平均を大きく上回る高配当銘柄は、四季報オンラインのスクリーニング機能で簡単に見つけることができる。

 この表から銀行・証券などの金融機関に高配当銘柄が多いことがわかるが、日産自動車(7201)や青山商事(8219)など自動車や小売業でも、平均利回りの2倍以上の4%前後で放置されているので注目である。

 利回りの高さだけでなく、3カ月に1度配当を出す「四半期配当」企業も存在するのでこちらもチェックしておきたい。会社四季報【配当】欄を確認し、3、6、9、12月に配当金額が記載されるものが四半期配当を実施している企業である。具体的には上記の表にもあるあおぞら銀行(8304)、ホンダ(7267)、医療用不織布首位のホギメディカル(3593)、独立系SIのコムチュア(3844)などが四半期配当を実施している。

こんな変わり種も

 次に株主優待についてである。つい先日、モーター大手の日本電産(6594)が初めて株主優待制度を導入すると発表し話題になった。優待内容は、長野県諏訪郡にある「日本電産サンキョーオルゴール記念館すわのね」の無料入館リーフレットを贈呈とのことだ。

 日本取引所グループのホームページによると、株主優待実施企業数は、2016 年8 月末日時点で過去最高の1331 社となり、全上場銘柄の33.8% を占めた。優待の内容は、1位金券・ギフト、2位食品、3位暮らし、4位教養・娯楽、5位食事券、6位ファッション、7位乗り物の順となっている。

 そもそも日本で株主優待はいつから始まったのか。それは1899(明治32)年の東武鉄道(9001)からとされている。同社の社史には「優待株数300株以上、範囲は鉄道全線、優待株主数41名」と記載されているらしい。ちなみに東武鉄道の開業は同年8月なので、開業と同時に株主優待を取り入れた事になる。

 開業当時の状況について、『東洋経済新報』第135号(明治32年9月5日)は、「東武鐡道の北千住・久喜間の21哩(マイル、約33.6km)は全通したるをもって8月26日より開業せり。停車場は北千住、西新井、草加、越ヶ谷、柏、杉戸および久喜の7箇所なり」と伝えている。現在の四季報では、【特色】欄で「関東民鉄で路線最長」と紹介され、路線延長は開業当時の10倍以上の463.3kmの大手になった。こうした創業当初からの斬新な取り組みが成長の要因になったのかもしれない。

 ここで3月決算企業の中から、魅力的で特色のある株主優待の事例を会社四季報巻末の優待一覧から探してみた。

 たとえばシーリング(外壁防水)工事でトップのマサル(1795)は、サマージャンボ宝くじ10枚となっているが、万が一、宝くじの1等5億円(2016年の1等金額)が当たってしまったら、投資金額55万円が900倍になって戻ってくるという夢のある株主優待である。

 一方で、家族葬、直葬など葬儀事業を展開するニチリョク(7578)の「ラステル」安置料金1泊無料は、そう滅多に起こらない出来事のため、活用法が難しそうだ。

 ちょっとした小ネタだが、かつてダンス系音楽のエイベックス・グループ・ホールディングス(7860)は、自社が抱えるアーティストによる株主限定ライブを行っていた。会社設立20周年の総会は、さいたまスーパーアリーナで開催され、安室奈美恵、槇原敬之、大塚愛、TRF、倖田來未、EXILEなど12組のアーティストが出演する豪華なものだった。その後、株主限定ライブは中止となったが、個人的には復活することを期待している。

 続いて「実質好利回り銘柄」についてだ。詳細は『会社四季報』2017年1集(新春号)22ページに記載されているが、株主優待の自社商品や食事券などが1株当たりいくらに相当するか金額に換算して株主優待利回りを算出し、配当利回りと合計した利回りを実質配当利回りとしている。実質利回りが高い銘柄もいくつか選んでみたので以下を参考にしてほしい。

おコメ優待でもお得度に大差

 最後に株主優待の王様「おコメ」に注目した投資を考えてみたい。3月11日付日本経済新聞は、ブランド米の代表格「新潟産コシヒカリ」が1974年以来43年ぶりの歴史的な安値に落ち込んだと報じている。競合ブランドの乱立と新潟県での豊作が原因だが、それでも日本人にとっておコメは主食であり、もらってうれしいものに変わりはない。

 そこで新たな投資指標の「ROE」を考えてみた。通常ROE( Return on Equity/リターン・オン・エクイティ)とは、当期純利益を自己資本で割った、自己資本に対する収益性を計る指標だ。新たな指標とは「Return」を「Rice」に入れ替えた「Rice on Equity/ライス・オン・エクイティ」であり、優待でもらえるおコメの重さ(g)を投資金額(万円)で割って、投資1万円当たりでもらえるおコメ(g)を表したものである。

 以下の表を見ていただくと最もお得なのは田中精密工業(7218)で、ROE(ライス・オン・エクイティ)は、高松コンストラクションG(1762)の2倍以上あることがわかる。これらの銘柄をまとめてセットで買ったとしても買い付け代金は100万円に達しないので、たとえばNISA口座で購入し、毎年おコメをもらいながら中長期の成長を取るという投資スタンスがあってもよいかもしれない。

渡部 清二(わたなべ・せいじ):大手証券会社に23年間在籍。中堅企業、個人投資家向けの資産コンサルティング、世界の運用会社向けの日本株セールスに携わる。2014年四季リサーチ設立、2016年複眼経済観測所設立、所長。
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