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「4年後に売り上げ5倍、1000億円を目指す」

18日上場、「旅工房」高山社長に聞く

藤尾 明彦
2017年04月15日
「旅行業界のあり方を否定してきた」と語る高山泰仁・会長兼社長(撮影:今井康一)
4月18日上場の旅工房の設立は1994年と意外に古く、すでに23年の歴史がある。同社の強みや特徴、上場の狙いなどについて高山泰仁・会長兼社長に聞いた。

ーー日本の旅行消費額は年間約25兆円、旅行会社は約9300社あり、旅工房のシェアは1%弱(2016年度の売上高見込みは220億円)となっています。自社の強みをどう考えていますか。

24歳で旅工房の創業メンバーとして参画、26歳で経営を引き継いで以来、自分なりに旅行業界のあり方を否定してきました。上場しているネット系の旅行会社では、ホテルだけ、航空券だけなど旅行の”素材”をバラバラに販売しているところがほとんどです。一方、当社はホテル、航空券、食事、観光をセットにして、インターネットで旅行を販売しています。JTBやHISなど店舗を持つ大手旅行会社はネットでもセットで旅行を販売していますが、ネット専業でセットを取り扱っている上場企業は当社が初となります。

 旅行会社は大きく店舗型とネット型の2つのタイプに分けられます。一般的に、店舗型は現地情報に詳しいですがネットシステムの構築は苦手。ネット型はシステム構築が得意でも旅行そのものについてノウハウの蓄積が浅いという弱点があります。

 当社はネット専業でありながら各方面別にトラベル・コンシェルジュという担当者を置いています。たとえばハワイ専門のコンシェルジュは一日中ハワイに関する仕事をしているため詳しくなります。そのためお客様のニーズに細かく対応できるのです。

 たとえば、リゾートへの旅行でオーシャンビューの部屋を望んでいるお客様がいるとします。しかし、海沿いのホテルでもどの部屋の景色がよいか日本で調べてもなかなかわからない。そこで現地に詳しいコンシェルジュが、「このホテルならこの部屋がオススメです」とご提案できるのです。

 手続きとしては、お客様にネットでいただいたお問い合わせをもとにコンシェルジュが電話及びメールでご要望のヒアリングを行い、それに応じて旅行内容のカスタマイズや旅程の組み直しを行うといった形になります。

ーー強い方面はどこですか。

 米国、欧州、ビーチリゾートです。こうしたエリアはお客様も観光や食事にこだわるので、コンシェルジュを抱えている当社の強みを発揮できます。しかし、台湾など気軽に行ける東アジアは価格競争が激しく、当社のように人手をかけると赤字になってしまっていました。

 ただ、市場規模は大きいので上場後はこのエリアにも積極的に打って出て行きます。上場で調達する資金約6.6億円のうち、4億円をネット販売システムの構築に充てることで、人手を介さず効率的に売り上げを伸ばせると考えています。調達資金の残りは人材の採用や教育に充当します。欧米やリゾートの売り上げはコンシェルジュの増加に連動して伸びるイメージです。

ーー今後の業績の見通しは?

高山泰仁(たかやま・やすひと)/1969年生まれ。90年グローバル航空入社、92年ツアーシステムコリア入社、94年旅工房入社、96年代表取締役、2015年代表取締役会長兼社長(撮影:今井康一)

 2016年度(17年3月期)は、欧州方面がテロの影響で伸び悩みました。しかし近郊国は先述したようにシェアを奪うチャンスがあります。また現在ベトナムに現地法人があり、インドネシアやタイにも将来的に設立を検討しています。こうしたアジアの新興国では海外への旅行者が増加しており、当社のノウハウを持ち込むことで成長が期待できます。2020年度に売上高を約5倍の1000億円を目指しています。

ーー旅行業界では、てるみくらぶの破綻により多数の被害者が出ました。

 悔しいし残念な気持ちで、業界が健全化されることを望んでいます。私は40歳を過ぎた頃に国内でMBA(経営学修士号)に通い始め、その過程で会社は社会の公器であること、また成長のために上場が必要だという思いに至りました。上場することで信用力の向上にもつながると考えています。

ーー株主還元についての考え方は?

 配当政策については今後1年間じっくり考えていきます。また株主優待についてはツアー料金の割引など単純なものではなく、株主限定の特別ツアーなどを検討しています。たとえば投資家は資産運用に興味をお持ちでしょうから、世界の金融情勢を見学するツアーなど、ただの観光ではないユニークなものができないかと考えています。

記者雑感
 これまでお会いした起業家はエネルギッシュな方が多かったのですが、高山社長は物腰柔らかな雰囲気でソフトな語り口が印象的でした。2020年度売上高目標1000億円が実現するとなれば公募価格1370円は割安でしょうが、競争の激しい業界だけにそう簡単なことではなさそうです。同社の実力を知るには、実際に旅行を申し込んでみるのが一番かもしれません。
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