サウジの実情から浮かび上がる原油価格底打ちの兆候

「減産」と言うには時期尚早だが…

岡田 晃
(写真:SantiPhoto/PIXTA〈ピクスタ〉)

 原油価格に下げ止まりの兆しが見えてきました。米ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1月20日に1バレル=26ドル台の安値をつけた後は上昇が続いています。これは、産油国の間に減産を探る動きが出てきたことが一因です。

 報道によれば、サウジアラビアが水面下でロシアに5%の減産を提案したとみられ、石油輸出国機構(OPEC)とロシアが減産協議の会合を開く可能性があるそうです。OPEC内部では減産協議のために臨時総会開催の要望も出ています。

 はたしてOPECが減産に踏み切るのでしょうか。実はOPECの盟主・サウジアラビアの経済データからは、いつ減産に転換してもおかしくないような兆候を読み取ることができます。それは原油安で同国の経済が想像以上に悪化しているという事実です。

 サウジがいかに石油で成り立っている国であるかをおさらいしましょう。国家財政収入のうち石油部門からの収入が87%(2014年決算)を占めています。また、輸出の83%(同)を石油と石油製品に頼り、GDPのうち42%(同)を石油部門が占めています。まさに石油が国家の生命線であり、それだけ原油安による打撃が大きいことを物語っています。

 原油安の影響はすでに国家財政に表れています。サウジの財政は豊富な石油収入のおかげで多額の黒字が当たり前でしたが、原油価格が下がり始めた14年は655億リヤル(約175億ドル)の赤字決算となり、翌15年は3670億リヤル(約979億ドル)と巨額の赤字になったもようです。

 15年当初の予算では1450億リヤルの赤字でしたが、想定以上の原油安が続いたため歳入が予算より15%減少した一方、イエメン内戦への軍事介入などで歳出が予算より逆に13%増加し、赤字が大幅に膨らむ結果となりました。

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