「クリエイティブ・エコノミー」時代の勝ち組企業の条件

200年後にも期待? のあの企業

岩崎 日出俊

 そのショパンを記念して、1927年から5年ごとに開かれているのが「ショパン国際ピアノコンクール」である。昨年、17回目となるコンクールがあり、若きピアニストたちが腕を競い合った。一方、1958年より4年おきに開催されている「チャイコフスキー国際コンクール」もまた若手演奏家の登竜門として有名である。実は2015年は、「ショパン」、「チャイコフスキー」の2つのコンクールが、同じ年に開催されるという、「20年に1度の記念すべき年」であった。

国際コンクールでスタインウェイに挑むヤマハ

 ピアノメーカーにとっては、こうした世界的なピアノコンクールでピアニストたちによって選ばれ演奏されることが「一流の証し」となる。しかしそれはけっして簡単なことではない。まずはその候補となるべく、コンクールの「公式ピアノ」に認定されなければならない。長いこと公式ピアノの座はスタインウェイやベーゼンドルファーといった欧米の伝統あるメーカーによって占められていた。強固な壁が初めて(一部ながらも)切り崩されたのは、今を遡ること31年前、1985年のことである。この年のショパンコンクールで、日本のヤマハと河合楽器製作所のピアノがそろって初めて公式ピアノの一角に採用されたのだ。当時この快挙は世界中を驚かせ、マスコミで大きく報道された。

 現在ヤマハは世界最大のピアノメーカーになっていて、世界シェア32%を握るに至っている。それでも世界の著名なピアニストたちのコンサートを聴きに行くと、彼らの弾くピアノはスタインウェイであることが多い。スタインウェイのウェブサイトによれば、スタインウェイピアノは「世界で活躍しているソリストの98%以上から選ばれている」という。

 単なる世界シェアナンバーワンでは、ピアノの世界ではトップブランドとは認定されない。名実ともに世界一のピアノメーカーになるには、ヤマハは、世界的なピアノコンクールでピアニストたちによって選ばれ演奏されるピアノにならなければならない。昨年6月にモスクワで開かれた「チャイコフスキーコンクール」には、ヤマハの中田卓也社長も会場に足を運んだ。予選を勝ち抜いた出場者36人のピアニストたちが選んだのは、スタインウェイが26人、ヤマハは4人。しかし決勝に進んだ6人は、全員がスタインウェイを弾いた。王者スタインウェイの牙城を崩すのは簡単ではない。

決勝はヤマハ5人、スタインウェイ5人

 4カ月後、10月の「ショパンコンクール」ではファイナリスト10人のうち、7人がヤマハ、3人がスタインウェイを弾いて、3次予選までを勝ち進んだ。「やっとヤマハがスタインウェイに勝ったのか」と胸を躍らせる関係者も多かったが、最後の決勝の段になって、2人のピアニストが演奏ピアノをヤマハからスタインウェイに変更、決勝は「ヤマハ奏者5人」対「スタインウェイ奏者5人」とで分け合う形になった。結局6人の入賞者のうち2位、5位、6位がヤマハのピアノを弾き、1位、3位、4位がスタインウェイを弾いた。

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