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鉱工業生産の公表時間変更めぐるドタバタ劇

エコノミストの猛反対に遭って撤回

岡田 晃
経済指標の内容が株価などに及ぼす影響は高まっているのだが…(撮影:大塚一仁)

 鉱工業生産指数の発表をめぐって最近、ちょっとしたドタバタ劇の一幕がありました。経済産業省が2月29日、鉱工業生産指数速報の公表時間を変更すると発表したのです。同省は毎月下旬~月末ごろに前月の同指数の速報を公表。変更は公表時間を従来の午前8時50分から午後3時30分にするというもので、4月28日予定の公表分(3月の結果)から実施するとしていました。ところがエコノミストなどから一斉に批判が寄せられたため、同省は9日後の3月9日になって公表時間の変更を撤回したのです。

 鉱工業生産指数は、全国約2万社のメーカーを対象に各製品の生産品目ごとに生産、出荷、在庫などの状況を集計して指数化しているもので、景気の動きをきわめて敏感に表す指標です。このため、エコノミストや市場関係者の注目度が最も高い指標の一つで、公表当日には午前9時の取引開始直後に相場が動くことがしばしばです。

 そもそも公表時間を午前8時50分にしていることには重要な意味があるのです。すべての投資家に重要な情報を公平に伝達するには取引時間中は避けたほうが望ましいうえ、取引終了後の公表ではその日の東京市場で「消化」できないのです。鉱工業生産指数だけでなく、GDP(発表は内閣府)、消費者物価指数(同総務省)など、各省庁が公表する重要な経済指標のほとんどは午前8時30分や同8時50分に公表されています。

 かつては重要指標でも取引時間中や取引終了後の公表というのはザラにありました。しかし、バブル経済崩壊などを背景に株式市場でのマクロ経済データの重要性が従来以上に増し、市場への影響力も高まったことから、多くの指標の公表時間が現在の形になったという歴史的な経緯があるのです。

 ところが今回、経済産業省は唐突に公表時間の変更を発表しました。時間の針を20年以上も逆戻りさせるかのような新方針だったと言えます。エコノミストから批判が殺到したのも当然のことでした。経済産業省は公表時間変更の理由について「補助的なデータを一緒に発表するため」と説明したそうですが、公表時間の持つ意味について感度が鈍すぎたと言わざるを得ません。

 もう一つ、首をかしげたくなるような変更が同時に発表されました。同指数の公表予定日です。従来は、毎年の年末に翌年度末までの公表予定日が発表されていましたが、今後は毎月の速報公表時ごとに翌月の公表日だけを発表する方式へ見直すことにしたのです。

 経済指標の公表日程は投資家にとって重要な情報です。それだけに、翌月の公表予定しかわからないというのは大変な“サービス低下”です。そこまで公表予定日を明らかにしない理由は、公表時間の変更にも増してわかりにくく理解に苦しむものでした。

東洋経済から絶好調企業を先取り

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