地方景気の変化がわかる「さくらレポート」

日銀の金融政策の判断材料

岡田 晃
日銀は4月の「さくらレポート」で東北地方の景気判断を引き下げた(写真は仙台の七夕祭り、m.Taira/PIXTA〈ピクスタ〉)

 日銀はこのほど地域経済報告(さくらレポート)を発表し、東北地方の景気判断を引き下げました。他の8地域については前回の判断を据え置きましたが、今回の内容には総じて景気の停滞している状況がうかがえます。

 同レポートでは、景気判断を引き下げた東北について「基調としては緩やかな回復を続けている」としながらも、「新興国経済の減速に伴う影響などから生産面で弱含んだ状態が続いている」としています。前回(1月)の「生産面に新興国経済の減速に伴う影響などがみられるものの、緩やかな回復を続けている」との記述から、新たに「弱含んでいる」との表現を入れ、東北の景気判断を一段階引き下げました。

 景気判断を据え置いた他の8地域でも、個別項目では判断の引き下げが目立ちます。生産については、東北、四国、九州・沖縄、設備投資では北海道でそれぞれ判断を引き下げました。新興国経済の減速による影響を指摘しているのに加え、円高の影響を心配する声が出ているということです。

 このさくらレポートは、日銀が毎年1月、4月、7月、10月の四半期ごとに開く支店長会議に向けて、各支店が地域の民間企業の聞き取り調査などから情報を集約し、全国9地域の景気判断をまとめているものです。3カ月前と比べた各地域の景気判断の変化を毎回記述しているのが特徴で、日銀の金融政策の判断材料の一つとなっています。

 さかのぼると、2014年7月は消費増税の影響があったものの、景気判断としてはやや意外なことにすべての地域が据え置きとなりました。同年10月には東北が引き下げられました。その後、15年4月には北陸、東海、近畿、同年7月には北海道の景気判断がそれぞれ引き上げられました。同年10月は全地域が据え置きとなり、16年1月は東海で引き上げられたのに対し、近畿では引き下げられました。

 こうした推移を見ると、景気判断の変更は意外に少ないという印象です。しかしその分、一つの地域でも「引き下げ」があった場合にはそれなりの意味を持つとも言えるわけです。日銀は、東北の判断が引き下げられた14年10月の月末に追加緩和、近畿の引き下げがあった16年1月の月末にはマイナス金利導入に踏み切っています。

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