ウォール街のカネの亡者が最後に手にした栄光とは

お金儲けとは何なのか

エミン・ユルマズ
すべての努力と勉強はウォール街で成功するため……。そんな金儲け主義の男の人生観が9.11テロでがらりと変わった

 東京マーケットが円高に苦しめられている最中に、世界ではパナマ文書の流出が大きな話題を呼んでいる。そもそも日本にはオフショアの会社を作ってまでおカネを隠そうとする独裁者もいなければ、オフショアで租税回避をするほどの金持ちも少ない。そのせいか、他国に比べこの事件への関心は薄いように感じる。

 パナマ文書は内容が全部明らかになったわけではない。流出した文書のサイズは2.6テラバイトもある。文書としては巨大サイズなため完全な分析にはもう少し時間がかかる。ウィキリークスは1.7ギガバイトであったことを考えるとパナマ文書の大きさが想像できるかもしれない。

 ちなみにこの事件が与えるマーケットへのインパクトも話題になったが、今のところ大きな影響は見られない。グローバル銀行がオフショア口座のファシリテーターであったことを考えると、今後銀行に対する規制が世界規模でさらに厳しくなる可能性がある。また、欧米では富裕層に対しては増税を行うべきという議論も活発化しそうな雲行きだ。

 パナマの法律事務所の40年間の営業記録であるパナマ文書は、法律事務所のコンピューターがハッキングされたことで流出した。この事件が語っている「真実」が一つあるとすれば、それはデジタル化された世界では完璧な秘密など存在しないということであろう。

金融界の内幕を描いたノンフィクション

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 今月の一冊は世界最大の金融街であるウォールストリートをテーマにした『ウォールストリート 強欲こそが、正義か!?(The Other Side of Wall Street)』(朝日新聞出版)をご紹介したい。 

 著者のトッド・ハリソン氏は貧しい母子家庭で育ち、モルガンスタンレーに入社。デリバティブの名トレーダーとして成り上がったのち、当時は世界最大のヘッジファンドの一つだったガレオン・グループのヘッドトレーダーを経て、400億円以上の資産を運用するヘッジファンド、クレイマー・バーコヴィッツのCEO(最高経営責任者)を務めた人物である。

 トッドは小さいころから大金持ちになるのが夢で、すべての勉強と努力はその目標のためであった。「キャッシュレジスターの前でおカネを払う人ではなく、もらう人になりたかった」トッドが、大学卒業後に就職先として選んだのは“世界最大のキャッシュレジスター”であるウォールストリートであった。

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