近未来の勝ち組は、電気自動車か燃料電池車か

トヨタ“PER8倍台”が示す意味

岩崎 日出俊
14年6月に発表されたトヨタの燃料電池車MIRAI(撮影:梅谷秀司)

 先週のことだが、米自動車大手のフォード・モーターが、販売開始となったばかりのテスラ・モーターズのスポーツ型多目的車(SUV)「モデルX」を、表示価格より5万5000ドル(約610万円)高い19万9950ドル(約2220万円)で第三者から購入していたことが判明、全米の話題を呼んだ。フォードとしては一刻も早くモデルXを手にして性能や構造、部品、素材を調べたかったに違いない。電気自動車をめぐる熾烈な開発競争を垣間見た一幕だった。

 このように最近は何かと話題に事欠かないテスラだが、先月末には新型量産車「モデル3」を初披露、17年終盤に発売すると発表した。モデル3は高級車の小型セダンといった位置づけで、レクサスISやメルセデスベンツCクラス、BMW3シリーズを意識した車格になっている。価格は3万5000ドル(約390万円)で、米国で購入すれば米政府から7500ドル(約83万円)の所得税控除も受けられる。モデル3の予約には1000ドルのデポジット(保証金)の前払いが必要だが、発表後3週間で40万台近くの予約が殺到したという。

 さらに今月に入ってテスラは12日、高級大型セダン「モデルS」の刷新を発表した。4年振りとなるこの刷新では、性能面での強化を図り、1回の充電で走行可能な距離(米国基準)は435キロから473キロへと9%改善した。

 こうした一連の動きを受け、テスラの株価も最近になってまた盛り返してきている。テスラ株は14年9月に286ドルをつけた後、今年2月、約半値の144ドルまで下落していた。それが4月22日には254ドルにまで回復してきたのだ。度重なる先行投資でテスラは03年7月の会社設立以来ずっと赤字決算を継続してきている。これをどう評価したらいいのか、投資家たちはつねに頭を悩ませてきたが、最近の株価上昇で、時価総額は約3.7兆円に達した。日本の自動車メーカーと比較するとトヨタ自動車(7203)ホンダ(7267)日産自動車(7201)の次に位置し、富士重工業(7270)スズキ(7269)マツダ(7261)よりも上位に来る。

何台くらいの電気自動車が売れているのか

 では、これまでに何台くらいのテスラ車が売れているのか。会社設立後、最初に販売したのはロードスターで08年から12年にかけて約2600台が製造・販売された(現在は生産終了)。現時点でテスラが販売しているのは2車種。高級大型セダンのモデルS(12年発売開始)とスポーツ型多目的車(SUV)のモデルX(15年発売開始)である(これに加えて高級小型セダンのモデル3の購入予約を受付中だ)。

 テスラのCEO、イーロン・マスクが2月10日付で株主向けに発表した文書によると、テスラはモデルSとモデルXを合わせて15年末で、累積台数で10万7000台を販売したという。そして16年末にはこの数字は18万7000台~19万7000台のレンジへ到達する見込みであるという。

 これは驚異的な数字である。例えば15年の1年間の米国での販売台数において競合他車と比べてみると、テスラ車の人気が見て取れる。昨年1年間で、米国内でメルセデスベンツのSクラスは2万1934台売れた。BMW は7シリーズと6シリーズとを合わせて1万7438台を販売、アウディはA7とA8とを合わせて1万2711台を販売している。これに対してテスラのモデルSはこの間、これらを上回る2万5202台を販売しているのだ。

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