消費低迷の実態がよくわかる新指標って?

既存統計が抱える弱点を克服

岡田 晃
「爆買い」分を差し引くと日本の個人消費の低迷ぶりが一段と浮き彫りになる?(撮影:尾形文繁)

 日銀が個人消費の動向をより正確につかむための新しい指標「消費活動指数」を開発し、このほど公表を始めました。日本経済はこのところ消費の低迷が続いていますが、既存の消費関連指標には一長一短があり、実態を全体的かつ正確に把握するうえで難点がありました。こうした状況を踏まえて日銀が約30の政府統計や業界統計を使って新指数を開発したものです。今後は景気判断や政策決定の際の有力な判断材料にする考えです。

 個人消費の全体的な動きを表す統計データとしては、総務省の家計調査がよく使われます。ただ前回の本連載でも取り上げたとおり、同調査の対象は約9000世帯と全国約5200万世帯の約0.02%にすぎずサンプル数が十分ではないため、集計値のブレが大きくなりやすいという“弱点”を持っています。調査対象の家庭では日々の消費支出の内容をすべて具体的に記入するという負担の大きさなどから、回答が高齢者世帯や専業主婦世帯に偏りがちといった問題点も指摘されています。

 家計調査の弱点を補う統計には、経済産業省が毎月発表する商業動態統計があります。家計調査が「買う側」、つまり需要サイドの統計であるのに対し、商業動態統計は「売る側」、つまり供給サイドの統計です。全国の百貨店、スーパー、コンビニエンスストアのほか、小規模小売店も含めた小売業と卸売業を調査対象に全国の商業の動向をほぼ網羅しています。このため、統計的なブレが小さいという長所を持っています。

 ただ、これにも弱点があります。サービス業が調査対象に含まれていないことです。個人消費の中で旅行、外食、医療、通信、交通、レジャーなどサービス関連の領域は幅広く、そのウエートも増える傾向にあります。こうした動向を把握するには、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査を見る必要があります。しかし、同調査だけですべてのサービス消費を網羅することはできないため、ほかのいくつかの業界統計も個別に見なくてはなりません。

 つまり、供給側のデータは分野ごとの消費の動きを示す有力な指標ではあるものの、一つの統計だけで消費全体を包括的に表すものが存在していなかったのです。逆に需要側の家計調査は消費動向を包括的に示す有力な指標ですが、精度に難点があるのは前出のとおりです。

 精度の面で優れており、しかも消費全体を包括的に示すことのできる指標がGDP統計の個人消費です。GDP統計は各分野の数多くの基礎統計を基に算出するものなので、この二つの要素を兼ね備えているわけです。

 その一方でGDP統計には速報性に欠けるという弱点があります。四半期ごとの発表であり、速報値でも各四半期末の約1カ月半後です。たとえば、今年1~3月期の公表は今月18日でした。1カ月後には改定値、年末には確報値と改定が続きます。つまり「個人消費に関する調査統計で、速報性があり、包括的で、精度の高いものはない」(日銀)のが実情なのです。

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