アキュセラ、株価急落を招いた治験不調と「インサイダー取引」報道

高値から7分の1に下落

小長 洋子

 加齢黄斑変性ドライ型の飲み薬を開発しているアキュセラ・インク(4589、東証マザーズ)は、5月26日、米国での臨床2b/3相のトップラインデータを公表した。しかし、その臨床試験の結果は、「投与群とプラセボ群での有意差が見られなかった」という、期待に反するものであった。

アキュセラの窪田良社長。虎ノ門病院勤務を経て、ワシントン大学医学部眼科学教室助教授に就任。2002年にアキュセラを創業した(撮影:梅谷秀司)

 さらに、公表の前日、株価が7700円の年初来高値をつけたあとに急落していたこともあって、インサイダー取引の疑惑が浮上。「日本証券取引所が調査を開始した」との報道もあり、連日のストップ安となった。株価は6月3日時点で高値の約7分の1となる1100円近辺まで下落している。

 アキュセラ側は、インサイダー取引疑惑での調査については「コメントできない」としている。このようなケースで調査を担当する日本取引所自主規制法人でも「個別銘柄についての問い合わせには答えられない」(広報)という。第2位の大株主であるSBIホールディングスからは、試験結果について「適時開示を通じて初めて知った」「当該開示の前後において保有する株式の売買はいっさい行っていない」とのリリースが出ている。

 なお、SBI社長の北尾吉孝氏は、アキュセラ創業初期からの支援者。2014年末に、創業者である窪田良現社長から新任取締役らが経営権の奪取を図った際に窪田氏の支援に立ち、短期間ながら取締役を務めていたこともある。

 アキュセラが26日に公表したのは、加齢黄斑変性ドライ型の経口治療薬、エミクススタト塩酸塩の臨床2b/3相試験のトップラインデータについて。臨床試験は2年前に開始して、今年6月中に結果を公表する予定だったが、前倒しして発表した。508例の患者に毎日1回の飲み薬を投与したが、主要評価項目について、萎縮病変の進行に差が認められず、治験開始前と比べて、投与群とプラセボ群での有意差も見られなかった。特定の遺伝子プロファイルを持つ人には有意な効果が見られたとあるが、詳細は公表されていない。

臨床試験の結果に失望売り

 アキュセラによれば、臨床2相aでは90日間31人に投与し23人で損傷範囲の改善が見られるという結果が出ていた。このため、2b/3相試験には市場からも大きな期待が寄せられていた。それだけに、結果の発表後に失望売りが殺到したものとみられる。

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