富士フイルム傘下の再生医療企業、J-TECの新ステージ(上)

日本の再生医療の「開拓者」

小長 洋子
(撮影:梅谷秀司)

 「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)」。社名は、生体組織工学(ティッシュエンジニアリング)の会社であることをストレートに示す。設立は1999年2月。再生細胞医療という言葉もほとんど知られず、法律や安全基準といったインフラも何もかもが未整備な中で、2つの製品を開発し薬事承認を得てきた。日本の再生細胞医療を作ってきたパイオニアといってもいい存在だ。

 3月決算各社の決算発表が無事に終わった5月31日、同社は社長交代会見を行った。実質的な創業社長といえる小澤洋介氏が退任し、親会社である富士フイルムホールディングスから比留間愛一郎氏が新社長に就任する。6月23日に開かれるJ-TECの株主総会決議を経て正式の就任となる。

社長交代会見に登壇した、小澤洋介現社長(左)と、比留間愛一郎次期社長(右)、(撮影:尾形文繁)

 富士フイルムHLDは2010年からJ-TECの筆頭株主。14年には新株予約権の行使によって株式の50%超を握り、子会社化した。

 新社長の比留間氏は、現在、同じく富士フイルムHLDの子会社の製薬会社、富山化学工業で理事・経営企画部長を務める。もともと富士フイルムで欧州駐在や新規事業開発、メディカルシステム、ヘルスケアなどの部門を経て、13年に再生医療事業室を立ち上げた。J-TECの子会社化やセルラー・ダイナミクスの買収にもかかわってきた人物だ。今後は富士フイルムとの関係強化や、次の成長を牽引する役割を担うことになる。

やけどの治療に患者自身の表皮を培養

 再生細胞医療とは、化合物でできた薬で病気を治療するのではなく、人の体が再生する力を利用して治療を行うもの。再生医療というとiPS細胞を思い浮かべる人が多いだろうが、実は再生医療の先駆けは体細胞由来だ。

 J-TECが承認を取得して販売している細胞医療製品は皮膚と軟骨の2種だが、いずれも患者本人の皮膚や軟骨を少量切り取って培養して増やす、体細胞由来だ。もともと自分の体細胞なので免疫拒絶はない。iPSのような腫瘍化リスクもなく、スムーズに生着するメリットがある。

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J-TEC (7774)

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