米FRB議長講演、利上げ警戒促すサプライズ発言も

注目集めるジャクソンホール会合

新見 未来
米国景気回復の足取りは緩やかだが…

 9月初めにかけて米国の再利上げ時期を左右する可能性のある雇用、賃金、物価に関する指標が発表される。特に注目すべきは、8月27日の個人所得・支出・PCE(個人消費支出)デフレータ統計と9月2日に公表される8月分の雇用統計だ。

 8月25~27日には金融政策当局の考えを知るうえで重要なジャクソンホール会合が開催される。同会合は毎年8月下旬にワイオミング州のジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムだ。米国だけでなく各国の中央銀行首脳や著名学者などが多数出席し、意見交換する場である。2010年には米国連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ前議長が講演でQE2(量的緩和第2弾)を示唆したこともある。26日にイエレン議長が講演する予定で、「金融政策の方向性が示されるのではないか」と市場は注目している。

 米国経済は力強さこそないが、懸念されたBrexit(英国のEU離脱)の悪影響もなく緩やかな回復を続けている。7月の雇用統計でも非農業雇用者数は前月比25.5万人増加し、6月(29.2万人増)に続く大幅増となった。

 6、7月の大幅増加は、5月(2.4万人増)の反動という面もないわけではない。5~7月の3カ月をならした増加幅は月19.0万人増と、雇用の本格回復とされるレベルの「20万人」を下回っている。図1で示すように、雇用の伸び率は15年以降、鈍化傾向をたどっている。こうした雇用の伸び鈍化には、需要・供給両面の理由がある。

 1つは労働力に対する需要が落ち込んでいる点だ。労働生産性が低下して労働コスト増が収益を圧迫しているため、企業の採用活動が慎重になっている。

 4~6月の非農業部門の労働生産性は3四半期連続で前期比低下し、前年比でも13年4~6月以来のマイナスになった。企業から見ると、雇用を増やしても売り上げや生産が増えなければ(つまり、生産性が低下するのであれば)人を増やす意味はない。雇用を抑制せざるをえなくなっている。

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