消費者が電力自由化に学ぶことは何か?

滑り出しは順調に見えるが…

引頭 麻実
関東経済産業局で昨年12月に開かれた電力自由化の一般向け説明会

 生活に欠かせない重要なライフラインである電力。2016年4月から小規模需要家、つまり、一般家庭やコンビニ、事務所など低圧ユーザー向けの小売りが自由化された。電力の小売り自由化は00年以降3回実施され、総使用電力量の6割がすでに自由化されたが、今回の措置で小売りの全面自由化が実現した。

 自由化で何か変わるかと言えば、なによりも消費者がどこからでも電力を自由に購入できるようになった点が大きい。これまでは地域独占による供給体制だったため、消費者に選択の余地はなかった。

 電力事業者にとっても従来は電力の販売しかできなかったが、他業種との提携によるポイントサービスや、通信やガスなど他の商材とのセット販売も可能になった。独占されていた市場が開放されることで競争が生じるとともに民間の創意工夫で活性化され、これまで想定していなかったような新しいビジネスモデルも導入されるのではないかとの期待がある。

 資源エネルギー庁のWebサイトによれば、電力の小売りを行うとして登録している事業者数は8月9日現在、334社を数える。電力広域的運営推進機関によると、7月31日時点でのスイッチング(他の電力事業者へ切り替えた契約)の数は147万3000件に上る。4月から毎月20万件強のペースでスイッチングが行われている計算だ。

 このように自由化の滑り出しは一見、順調に見えるが、スマートメーターの取り付けの遅れやシステムの不具合などで購入先を切り替えた一部の消費者に対し、電力料金の請求ができないといった事態も起きている。こうした状況が長期化すると、消費者の不信を招くことにもつながりかねない。早期解決が望まれるところだ。

 実は筆者も「物は試し」とばかりに切り替えをしてみた。請求書が先日送られてきたが、残念なことに使用料以外の料金の内訳がよくわからない。再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)や燃料調整費など、既存の電力会社から送られてくる請求書には記載されていた明細項目がどこにも見当たらないのである。ネットでユーザー登録を行って「請求書明細」というボタンをクリックすれば、その情報は得られるが、やはり請求書で確認できるほうが早くて、楽なのだ。

 使用量の判明しない新規顧客を抱えた新電力事業者はそれどころではないかもしれないが、消費者としてはこうした情報もぜひ、継続的に提供してもらいたいと思う。筆者の場合、今年3月の再エネ賦課金は500円弱。単純に年換算すれば5000円余りだった。一方、今年度の賦課金単価は1キロワット時当たり2.25円と前年度比4割強の引き上げになった。大きな変化であり、消費者には重要な情報だ。

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