市場に迎合した日銀、それでも株式相場に残る不透明感

「魔の月」へ向けて慎重なスタンスを維持したい

瀬川 剛
アベノミクスの下での日銀は「お役御免」になったのだろうか…(撮影:今井康一)

 21日午後1時18分、日銀は今年の金融政策決定会合で最も遅い時刻に「総括的検証」の結果を公表した。

 今回の決定についてはすでに詳しく報じられているが、要点は「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」の導入・採用だろう。前者はマイナス金利の副作用としての銀行の収益悪化、機関投資家の運用難の深刻化などへの配慮とみられる。後者は2%という物価目標の達成に向けて長期戦で臨むという姿勢に変えたことを意味する。何年度のいつごろまでにはという、これまでのコミットメントを修正したわけで事実上、数年程度での達成は難しいと認めたのに等しいだろう。

 今年の動きをざっと振り返ってみよう。まずは1月の会合。当初こそ、マイナス金利の導入を好感した市場だが、すぐに副作用の大きさに気づき、グローバルなリスクオフの影響もあって日経平均は2月12日に1万5000円を割り込むなどつるべ落としのような商状となった。10年国債(指標銘柄)の利回りは同月22日にマイナス0.005%とついに史上初のマイナスの領域に踏み込んだ。日本全体に運用難を嘆く声が満ちあふれたが、日銀がその効用を否定することはなかった。

 今年を振り返るに当たって忘れられないのは4月の会合だ。副作用を和らげるため、欧州中央銀行(ECB)の新TLTRO(対象を絞った長期資金供給オペ)にならって日銀も企業向け融資に対して積極的な金融機関への日銀貸し出しにマイナス金利を適用するのではないかとの観測が広がる中で迎えた。しかし、日銀が現状維持を決めたことで市場は失望感に覆われた。

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