GDPなど経済統計は本当に信用できるのか(上)

ブレが大きく、景気実体ともズレが…

岡田 晃
経済統計と景気実体のズレが指摘されている…(撮影:今井康一)

 「GDPなど経済統計は本当に信用できるのか?」ーーこんな議論が巻き起こっています。経済統計をめぐっては以前から「発表のたびに大きくブレる」「景気の実態とズレがある」などの指摘が出ており、この問題は当連載でも何度か取り上げてきました。最近では、今年4月に経団連が「公的統計の改善に向けた提言」をまとめたほか、政府や日銀も統計の精度向上などの取り組みを本格化させ始めています。

 このような議論のきっかけの一つとなったのが、昨年12月に発表された2015年7~9月期実質GDPの改定値でした。その前月に発表された速報値ではマイナス0.8%(前期比、年率換算)だったのに対し、改定値ではプラス1.0%と大幅に上方修正されたのです。

 数字のうえではポジティブサプライズだったのですが、マイナスだと思っていた景気が1カ月もたたないうちに「実はプラスでした」となったわけで、改定幅は1.8ポイントにも達したのです。これでは企業の景気判断や政府の政策が混乱してしまいます。

 GDP統計はこれまでも速報値と改定値の乖離がたびたび問題になってきました。実質GDPがマイナスからプラスへ、あるいはマイナスからプラスへと「逆方向」になった例が00年以降では7回あります。

 中でも00年7~9月期はプラス1.0%からマイナス2.5%へ改定され、その幅は3.5ポイントに達しました。

 プラスまたはマイナスで同じ方向でも、改定幅が1.0ポイント以上となったケースも過去5年間(20期)で4回ありました。改定幅の平均は0.68ポイント。この数字は一見小さいように思えますが、成長率自体がせいぜい1%台程度であるのを踏まえると、これだけの改定幅は極めて大きいと言えます。景況感も変わってくるでしょう。

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