小野薬の「オプジーボ」を叩くだけでいいのか

薬価引き下げ問題をどう考える

「オプジーボ」開発の立役者の本庶佑・京大客員教授(撮影:尾形文繁)

小野薬品工業 (4528)のがん治療薬「オプジーボ」の薬価論争が過熱化している。「オプジーボ」の高額の薬価については、マスコミなどで再三取り上げられているので知っている人も多いだろう。

 薬価問題が医療関連のマスコミ以外で取り上げられるのは異例である。国会でも「オプジーボ」の薬価問題が取り上げられた。10月上旬の参院予算委員会では、「オプジーボ」100ミリグラムがワンボトルで日本では約73万円なのに対して、米国は約30万円、ドイツは約20万円であり、内外価格差の是正をめぐる議論も浮上した。一部のマスコミは、同薬の薬価の来年度引き下げ幅が25%と報じたが、現時点では結論にいたっていないのが実情だ。

 医療制度と同様に薬価は各国で制度が大きく異なる。自由薬価の米国と、日本などの皆保険制度下の公定薬価の国では本来、同じ土俵で議論はできない。各国で製造・販売承認の状況も異なるため、単純な価格だけの議論はあまり意味がない。

 国内で「オプジーボ」はまず、メラノーマ(悪性黒色腫)の治療薬として承認された。その後、非小細胞肺がん(日本の肺がん患者の7割強は非小細胞肺がん)の一部に使用適用が拡大した。

 メラノーマの患者数が相対的に少ないため、当初の薬価は高額だった。従来方式ではがん種への拡大に応じた患者数の増加によって薬価は引き下げられるはずだったが、「オプジーボ」は売り上げ拡大のスピードが速すぎたため、医療関係者の危機意識を一気に高めてしまった。

 ただ、重要な点は「オプジーボ」の成否が日本のバイオ産業の試金石であるということだ。成功者を叩く行為は非資本主義的であり悪平等でもある。さらに、医療産業の芽を摘み個別企業のバイタリティを削ぐことにもつながるだろう。

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