「トランプショック」で再び脚光浴びる?あの投信

株価が下落すると儲かるのがウリ

鈴木 雅光
株式相場の下落時には、「インバース型ETF」への注目が集まる(撮影:尾形文繁)

 真っ先に「トランプショック」に見舞われた東京株式市場。9日の日経平均株価は一時、前日比1000円超の下落となり、外国為替市場では1ドル=105円から101円まで円高ドル安が急激に進行した。ただ、翌10日には日経平均が同1092円高と大幅上昇し、完全な「往って来い」相場。ドル・円も同じで、同日15時に1ドル=105円台まで円安が進んだ。

 このように、マーケットが急落した局面で必ず注目されるのが「インバース型ETF」だ。インバース型ETFとは、日経平均や東証株価指数(TOPIX)などの株価指数が下落するほど、取引価格が上昇するETFのことである。非上場の投資信託にも「ベア型」という、マーケットが下げるほど取引価格が上昇する商品が同じようにあるが、使い勝手はやはりETFのほうが上だろう。

 というのも、非上場の投信は売買日の取引が終わった時点でなければ基準価額が決まらず、取引時間(ザラ場)中の値動きで利益を確定させることができないからだ。たとえば、SBIアセットマネジメントが設定・運用している「SBI日本株3.7ベア」の基準価額は8日が3702円で、翌9日が4457円だった。

 株価の急落を受けて前日比で755円高になったのだが、8日には米大統領選で民主党のヒラリー・クリントン候補が優勢と伝えられていた。このため、同日時点で同ファンドを買うという英断を下すことのできた投資家はほとんどいなかったとみられる。

 日本時間の9日に開票が進むにつれて、「共和党のドナルド・トランプ候補優勢」との見方が強まる中、あわてて同ファンドを買ったとしても、約定時の基準価額には大幅に株価が下落した同日終値で計算された4457円が適用される。しかも、10日には株価が急反発したため、基準価額は逆に大幅安となった。

 つまり、8日はヒラリー勝利を前提にした株高期待が強かったため、ほとんど誰もがベア型ファンドを買わず、9日の株価急落であわてて買った人は高値をつかむ形となり、10日の株価急騰で値下がり損を被ったことになる。終値で計算された一本値の基準価額でしか購入・解約ができない非上場のベア型ファンドは、このようにボラティリティの高いマーケットでのリスクヘッジが困難であることの好例といってもいいだろう。

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