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巨匠ピーター・リンチが教える最初のレッスンとは

アマの知恵でプロを出し抜け

エミン・ユルマズ
アメリカンドリームの「定義」の一つはすでに破綻したーーこれを知らずしてトランプ次期大統領誕生の背景は理解できない

 米国の経済学者の研究によれば、30歳の若者の約半分は、親たちが30歳の時に稼いだ年収より少ないそうだ。その期間に米国経済が絶えず成長していたことを考慮すると、若い世代の収入が一世代前に比べいかに激減しているか理解できるだろう。

 1970年には30歳の人の92%は親より稼ぎがよかったのに対し、2014年に親より稼いだ30歳の人は51%にすぎない。1970~1992年までの22年間が最も下落が激しかった時期で、親より稼ぐ30歳の比率は92%から58%に急減している。

 実はこの時期は日本ではちょうど高度経済成長期とバブル期に相当する。日本の産業と輸出の伸びでラスト・ベルトと言われる米国の産業地帯の景気は後退し、住民の年収も減って行った。日本が不況に突入した1992年から2002年にはその影響は弱まったが、2002年からは今度は中国製品の攻勢でラスト・ベルトは再び不況に陥っている。

 親より稼いでいい暮らしをするーー。これはアメリカンドリームの定義の一つだ。その意味ではアメリカンドリームはもはやフェードアウトしていると言わざるを得ない。このトレンドを逆転させるのは至難の業であり、米国経済が毎年6%の高成長でも記録しないかぎり、ほぼ不可能と言われている。

 この現実がもたらす絶望感が反移民、反グローバリズムという形で爆発しているのではないだろうか。ドナルド・トランプ次期大統領の当選にはこのような背景があり、彼を熱狂に支持する人たちを理解するには米国の中流階級が陥っている危機を理解する必要がある。

『ピーター・リンチの株で勝つーーアマの知恵でプロを出し抜け』 

 今月紹介するのは、バリュー投資の古典と言われる本の一つ、『ピーター・リンチの株で勝つ』(原名「One Up on Wall Street: How to Use what You Already Know to Make Money in the Market」)である。

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