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一部M&A業者のカネ儲け優先の現状に一石投ず

合併・買収ビジネスの知られざる実態

松崎 泰弘
今やM&Aの波は大手だけでなく中小企業にも広がる。1947~49年に生まれたいわゆる「団塊の世代」生まれの経営者が後継者難などを理由に会社売却を決断するケースが増えていることなどが背景だ、これを受けて、M&Aに関する助言、仲介など関連ビジネスを手掛ける企業には追い風が吹く。会社をどうするのか悩む中小企業の経営者を主な対象に、M&A業者選びのポイントなどを詳しく説明した『損をしない会社売却の教科書』(ビジネス社刊)を著した江野澤哲也氏に現在のM&Aビジネスの問題点などを聞いた。

ーー本書を執筆した動機を教えてください。

 中小企業が会社を売却する方法にはさまざまな選択肢があるにもかかわらず、多くの経営者はそれを把握していない。「仲介業者主導」ともいうべきケースも少なくありません。そんな現状に一石を投じたいと思ったのがきっかけです。

 売り手側の情報を数多く保有する「仲介業者」が買い手側にアプローチ。「その情報を閲覧したいのであれば50万円かかる」などといった営業をして買い手側からおカネを取る。そうしたことが珍しくありません。

えのさわ・てつや●野村證券で個人の資産管理業務を経て1994年からM&Aビジネスに携わる。2008年から経営共創基盤に転職し、企業再生業務に従事した後、11年にジーアシストを設立し代表取締役。ビジネスの領域を従来の上場会社どうしのM&Aから中小企業のM&Aへ移した。高校から大学まで7年間、ラグビー部に在籍

 売り手側が求めているのは本来、「いい条件で買ってくれる相手を探してくれ」ということ。自分のところの情報でカネ稼ぎをしてくれとは考えていないはずです。50万円の支払いを断った企業が、実は最もふさわしい買い手だったかもしれません。

 自分の顧問先企業に先日、他社の約5000万円の第3者割り当て増資を引き受けないかとの打診があり、検討を進めていました。双方の社長同士の面談も行い、「ウィン・ウィン」の資本提携になりそうだと考えていたところ、仲介業者が「成功報酬として2000万円を払ってくれなければ、次のステップには進ませない」と言い始めたのです。

 根拠なき法外な報酬であり結局、断念せざるをえませんでした。仲介業者からすれば、顧客のために最適な売り手を探すのではなく、2000万円の報酬を支払ってくれるところを探していただけだったのでしょう。

 M&Aの「仲介」というのはそもそも利益相反をもたらすおそれがあります。売り手側はできるだけ高く売却したいと考えるのに対し、買い手側は安く買いたいと考えるはず。つまり、「仲介」業者として双方にメリットがあるようビジネスを行うとなれば、高いモラルが求められるわけです。

 現実には非常に難しい。私のビジネスも「売り手目線」の立場。講演などで「M&Aの仲介を手掛けている」などと紹介されることがありますが、それは正しくありません。あくまでも売り手企業の「支援」です。

東洋経済で見つける先取り有望銘柄

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