ジェネリック株総崩れの中、なぜ富士製薬だけ強いのか(2)

武政栄治社長に聞く今後の戦略

水落 隆博
中期計画の2019年9月期営業利益は67億円。「必ずしも容易だとはいわないが、届く数字と判断している」と武政社長(撮影:今井康一)
 急成長を続けてきた後発医薬品(ジェネリック)メーカー各社が戦略の転換点を迎えている。専業大手3社(日医工、沢井製薬、東和薬品)は昨年11月の中間決算発表時にそろって通期業績予想を修正したが、そんな中で目立つのが富士製薬工業(4554)の堅調ぶりだ。同社の武政栄治社長に今後の戦略を聞いた。

ーー2019年9月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画では、「Fuji Pharma ブランディング」をテーマに、ジェネリック(後発)医薬品中心だった事業の構造改革を進めている。この背景と狙いは?

 2015年9月に厚生労働省が「医薬品産業強化総合戦略」を発表し、医薬品産業の将来像を打ち出した。そこでは新薬開発やアカデミアとの連携という「イノベーションの推進」、医療費の伸びを抑える、ジェネリック医薬品促進にもかかわる「質の高い効率的な医療の実現」、また「グローバルな視点での政策の再構築」、この三つが政策の理念だと理解しています。

 日本が新薬創出国を目指すということは、「新薬メーカーは新薬を出さなければ再編されてしまいますよ」というメッセージです。またジェネリックメーカーも日医工、沢井製薬のような大手はよいが、小さなところは集約化、大型化の方向にもっていく、そういう議論がなされるとの示唆です。ジェネリックに関しては、政府が数量シェアで80%目標を掲げていますが、その達成後はものすごいコスト競争が来る。それを回避するにはどうしたらいいのかと考えました。

 結論として行き着いたのが、「ブランド(先発品、バイオシミラー)×ジェネリック×CMO(医薬品製造受託事業)」でシナジーを生んで収益を伸ばしていく独自相乗発展モデルです。基礎研究から創薬を推進する規模の会社ではないので、先発品は導入品や承継品が主になるが、強みの女性医療や造影剤を中心とした急性期医療を戦略領域に据え、さらに深掘りするスペシャリティファーマを目指しています。

ーー中計は2015年9月期が初年度です。政府が骨太の方針で数量シェア80%を定め、また厚労省が総合戦略を公表する前から、それに至る議論、流れを読んで、いち早く戦略転換を打ち出したということか。

 そうです。2012年にタイ最大のCMOメーカーであるOLIC社を買収しました。注射剤の新しい工場で作った造影剤を日本に輸出しているが、タイをはじめ周辺国でも高品質のものを売っていきたい。われわれの規模では、ジェネリックだけ国内だけに依存していたのでは今後は難しい。これが戦略の背景にあります。

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