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機関投資家があえて問う、「不正企業」を見抜くために必要なこと

日本企業の「コーポレート・ガバナンス」

小松原 周
撮影:今井康一

 「米国株と日本株でもっとも違うところはどこですか?」という質問を、顧客から聞かれることがある。それに対する答えとして、最近は「コーポレート・ガバナンスの違い」を挙げることが多い。

 読者の皆さまは、コーポレート・ガバナンスというと、株価と関係性の薄い、アカデミックでつまらないものと思われるかもしれない。しかし、実際にはそうではない。

 東芝の株主であった投資家は、経営陣に対して憤りを覚えていることだろう。だが、機関投資家としての立場からあえてホンネで言わせてもらえば、東芝株を長期で保有している投資家にも責任はある(東芝の現場の従業員にまったく否はないが)。

 個人投資家の場合は、機関投資家のように経営陣に直接会って取材をできるわけではないので、そのダメさを認識するにはいささかハードルがある。だが、決算開示資料や目標数値と実績値を比べることや、経営陣や社外取締役のキャリアや顔ぶれを見たりするだけでも、十二分にその「イケてない」空気は感じられただろう。

東芝の不正は氷山の一角

 ちなみに、東芝のような会社は氷山の一角にすぎない(立場上、具体的な会社を挙げることはできないが)。つまり、個人投資家の皆さまにとっても、コーポレート・ガバナンスはとても重要なことなのである。日本の上場企業には、ガバガバのガバナンスを隠れ蓑として投資家の利益を害する会社が、まだ何百社も存在しているのだ。

 「あそこは大手だからしっかりやっている」とか、「優秀な人がたくさんいるから大丈夫」などという発想は、幻想にすぎないことも明言しておく。むしろ、ダメな経営は、大手の方が目立ちやすい。現場で多くの社員が頑張って築いた信用もブランドも、一日でついえることになってしまうだろう。

 このような状況は、投資家にとってはいい迷惑である。ガバナンスの弱い会社のタチが悪いは、株式市場全体の効率性を著しく低下させてしまうところだ。もし、「東証1部に上場している = ガバナンスがしっかりしている」という信頼性が担保されているとしたら、より小さなリスクプレミアムを付与して株価(企業価値)を見ることができる。別の言い方をすれば、投資家は事業リスクを取るだけでよくなる。

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