投信の騰落率ランキングは参考にならない

本当にチェックすべきデータとは?

鈴木 雅光
短期間の上昇は将来の上昇を約束するわけではない(写真:Graphs/PIXTA)

 投資信託(投信)を選ぶ際、信託報酬などのコスト、過去の運用成績、純資産総額といったデータのうち、どれにいちばん注目するだろうか。最近は、投資家のコスト意識が高まっているので、コストが最優先という方もいらっしゃるだろう。また、投信のように将来の運用成績が不確かな金融商品に投資する場合は、これまでの運用成績(騰落率)に興味を示す方も多いのではないだろうか。

 騰落率とは、現時点から見て、過去1カ月間、1年間、5年間など、一定の期間中に基準価額が何パーセント上昇または下落したのかを示すものだ。たとえば、現時点の基準価額が1万1000円で、1年前の基準価額が1万円であれば、この投信の騰落率は10%になる。この騰落率の高い順に並べたものが騰落率ランキングで、たとえば投資信託評価会社のモーニングスターのサイトなどで見ることができる。

 ちなみに2017年3月末における過去1カ月間の騰落率ランキングを見ると、1位はHSBC投信が設定・運用する「HSBCメキシコ株式オープン」の11.5%だ。この数字は年利回りではなく、あくまでも1カ月間の基準価額の上昇率である。1カ月間でこれだけ上昇すると、中には「預金の利率はほとんど0%なのに、投信はこんなに儲かる」などと思ってしまう人も出てきそうだ。

 しかし、この投信の名称を見てもわかるように、投資対象はメキシコの株式である。メキシコの株式市場は、米国や日本など先進国の株式市場に比べて流動性が著しく低い。その分、株価も乱高下しやすくなる。この1カ月間は、たまたま値上がりしたが逆に値下がりするケースも考えられる。安定的に10%超のリターンが得られるとは、とても考えられない。つまり、ある時点の一定期間中における基準価額の騰落率が高いものに注目しても、それが今後も続くかどうかはわからない。騰落率のランキングは、投信を選ぶうえで何の参考にもならないということを、理解しておいた方がよい。

 では、何をチェックすればよいのだろうか。まず、投信は長期的な資産形成を目的に購入するものなので、投資対象をチェックして長い目で見て成長すると思われるものを選ぶべきだろう。ただし、人工知能、IoT、ヘルスケア、環境といったテーマは長期的に有望ではあるが、短期的に関連銘柄に資金が集中して注目度が下がると株価も大きく下がるおそれがある。

 こうしたテーマに関連した銘柄に集中投資するテーマ型ファンドはあまり積極的に買うべきではない。どちらかというと、世界中の株式市場に分散投資して、世界経済の成長を取るというくらい、ざくっとした感覚で買えるグローバル株式型の投信などがよいだろう。

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