過熱する「優待クロス」を逆手に取る技とは?

ポイントは"逆日歩"

岡村 友哉
逆日歩がつくことで、優待のゲットに思わぬコストがかかることがある

 「優待クロス」が過熱化している。優待クロスとは、優待の権利付き最終売買日の大引けまでに、その優待株の「現物株買い/信用売り」を同時に成り行き注文で行う取引である(※細かい説明はネット上に多く掲載されているので割愛)。

 同値で売り/買いの両方のポジションを持てば、価格変動リスクがない。そのうえで、権利付き最終売買日の株主に株主優待が付くため、現物買いのポジションに優待が付く。翌日の権利落ち日で株価がどれだけ下がろうが、反対売買すれば価格変動に伴う損失を回避しつつ、優待をゲットできるという非常に優れた投資手法だ。

 星の数ほどあふれかえる(怪しくておカネがかかるモノ含め)投資手法の中で、「これほど理にかなっているものはないのでは?」と思うほど優れた投資手法である。だからこそ人気があり、人気があるからこそ、優待を出す側(発行企業)も大変だ。たった1日、期末だけ限定で(しかも目的は優待ゲット)株主になる投資家は多く、そうした投資家を相手に“株主ファースト”の精神で経営判断を求められるのだから、その気苦労には頭が下がる思いである。

 そんな優れた投資手法を、優待タダ取りの「裏技!」的に喧伝する記事も見掛ける。だが、この手法は10年ほど前から、ちょっと株をやっている人であれば誰でも知っている「常識」である。もちろん、「常識」であるから、思いもよらないコストがかかることも多くの投資家は当たり前のように知っている。

 それは、超短期間での優待クロス急増による逆日歩(信用売りの側にかかるコスト)の発生である。優待クロスで株券不足が生じた場合、この逆日歩により、優待券をタダどころか、高額コストを払って手に入れなくてはならなくなるリスクだ。

 この逆日歩により、優待の食事券が超高額になってしまった事例は、毎年いくつも生まれ、語り継がれている。先週の4月優待銘柄からもそうした事例が生まれた。

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