"バブルピーク並み"の求人倍率で賃金上昇の兆し

「消費低迷」の固定観念を捨てるべき

岡田 晃
直近5カ月の小売り販売は増加傾向にある(撮影:梅谷秀司)

 前回の本連載で、有効求人倍率が「バブル期並み」の水準まで改善していることを取り上げました。労働市場の底流では構造的変化が起き始めているように思えます。このことは賃金上昇と消費増加にもつながる可能性があります。

 厚生労働省がこのほど発表した3月の有効求人倍率は、前月より0.02ポイント上昇して1.45倍となりました。これは1990年11月以来、26年4カ月ぶりの高水準です。バブル期のピークは1990年7月の1.46倍でしたので、3月の結果は「バブル期並み」を通り越して「バブル期のピーク並み」と言ってよいでしょう。

 これほどに雇用が改善したことで、むしろ今度は人手不足が深刻化しています。最近ではヤマトホールディングスが1万人を新規採用するとのニュースが話題になりました。宅配業界は人員増加とともに、宅配サービスの見直しや値上げなど業務のあり方そのものを見直さざるをえなくなっています。

 産業界では人材確保のため非正規従業員より正規社員の採用を増やしたり、パート従業員の時給をアップするなどの動きが広がり始めています。総務省の労働力調査によると、3月の雇用者数は正規が前月より26万人増加し、非正規の増加数17万人を上回りました。

 つい2、3年前まで多くの企業は正規従業員の採用をなるべく抑え、非正規従業員でまかなうというのが“常識”でした。2014年は正規雇用が月平均で13万人減少した一方で、非正規は57万人増加しました。ところが15年以降はわずかながら正規雇用の増加数の方が非正規の増加数を上回るようになり、今年1~3月の平均では正規雇用の増加が47万人、非正規が3万人と、その差が拡大しています。待遇の良い正社員の採用を増やして人材確保を図ろうとしている企業の姿が浮き彫りになっています。

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