"利上げ確率91%"でも米長期金利が上昇しないワケ

円安も進まない?

新見 未来
Rawpixel / PIXTA(ピクスタ)

 6月13~14日に開催されるFOMCでの追加利上げは、ほぼ既定路線になっている。FRBの物価目標の参照変数である、コアPCEデフレーター(目標は2%)の前年比上昇率が1、2月の1.8%から携帯電話通信料の下落により、3月1.6%、4月1.5%と鈍化した。

 これが利上げの障害になるのではないかという見方もあるが、金融市場の6月利上げの見方はほとんど変わっていない。FF金利先物市場の相場(6月2日時点)から計算した利上げ確率は91%となっている。

 ここまで2015年12月、16年12月、17年3月と3度の利上げがなされた。これは金融引き締めというより、低すぎる金利(緩めすぎた金融政策)を正常な状態に戻す過程だったとみるのが適切だ。

 サンフランシスコ連銀のウイリアムズ総裁によれば、米国の自然利子率、つまり均衡実質金利はゼロ%程度とされている。つまり、これに物価上昇率である1.5~2.0%程度を足した「1.5~2.0%」が、今の適正な名目金利と考えていい。

物価上昇率の多少の鈍化は障害にならず

 実際のFF金利は3月に引き上げられ0.75~1.0%となったが、「1.5~2.0%」が適正値だとすれば、現時点では金融はまだ緩和ぎみの状態だ。
 物価が目標の2%に達してもすぐにFF金利を「1.5~2.0%」に戻すことはできないため、現実的には徐々に戻していかなければいけない。そうした意味では物価上昇率が多少鈍化したと言っても、利上げの決定的な障害にはならない。

 また、当局は金利面だけでなく、量的な面での金融緩和策についても、緩めすぎた状態から正常な状態に戻そうとしている。3月のFOMC議事録によれば、量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小に関し、「大半の参加者は、政策金利の緩やかな引き上げが続いた場合、再投資政策の変更は今年後半に適切になる」と述べ、FRBのバランスシートの縮小を示唆した。

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