「国際金融都市・東京」のカギは法人税引き下げだ

都議選後の重要テーマに

岡田 晃
小池都知事は国と協力して法人税引き下げを実現できるか(撮影:梅谷秀司)

 本連載で前回、東京の地位向上が急務だと書きました。ちょうどその後の先週、東京都の小池知事が「国際金融都市・東京」構想の骨子を発表しましたので、再度この問題を考えてみたいと思います。

 同構想骨子では国際金融都市・東京が目指す姿として、①アジアの金融ハブ②金融関係の人材、資金、情報、技術の蓄積③資産運用業とフィンテック企業の発展④投資家・顧客本位など社会的課題の解決の4本柱を挙げ、それを実現するための施策として、税負担軽減や金融手続き迅速化などビジネス環境整備、規制緩和等による海外金融系企業の誘致や資産運用業者の育成などを列挙しています。

 いずれも重要な施策が並んでいますが、特に国内外金融系企業の新規参入促進のため「都税である法人2税(法人事業税、法人住民税)の軽減を検討するとともに、国に対して法人税の軽減を働きかける」と明記した点が注目されます。前号で指摘したように、日本の法人の税負担は国際的に見てかなり高くなっており、このことが国際金融都市を目指す東京にとって弱点となっているからです。

 法人の税負担の状況を具体的に見てみましょう。日本の法人税率(基本税率)は現在23.40%で、これに地方税である法人事業税や法人住民税などを合わせた実際の税負担を示す実効税率は29.97%です。東京23区の場合、法人事業税と法人住民税で超過課税を実施しているため、実効税率は30.86%となっています。

 この実効税率で国際比較すると、世界の主要国では米国の40.75%(カリフォルニア州の場合)が最も高く、続いてフランスの33.33%で、日本はほぼドイツと並んで世界で3番目に税負担の高い国になっています。一方、アジアの国際金融都市としてライバルである香港は16.5%、シンガポールは17%で、税制の面で大差をつけられているのが現状です。

 そして重要なことは、国際的にみて法人税引き下げが大きな流れになっているということです。これは金融面だけでなく経済全体がグローバル化する中で、各国が自国企業の競争力強化と外国企業の投資促進をねらったものです。

 米国のトランプ大統領の法人税引き下げ方針はその典型で、連邦法人税の基本税率を現行の35%から15%に引き下げる考えを打ち出しています。これが実現すれば、実効税率は20%台まで低下し、日本より低くなる計算です。ただ、与党・共和党は20%への引き下げで案をまとめているため調整が必要です。また最近はトランプ大統領のロシアゲート疑惑や政権の不安定化もあって、減税実現の見通しは立っていません。しかしそれでも法人税引き下げという方向自体はそう大きく変わらないでしょう。

ページトップ