③四季報記者に聞いた「夏号」の注目銘柄(IT)

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会社四季報オンライン編集部
(撮影:今井康一)

(※本稿は2017年6月20日に会社四季報オンラインの会員向けに先行配信したものです)

四季報には書ききれない業界事業や注目銘柄について担当記者にざっくばらんに語ってもらうこのコーナー。今回はIT業界。

ーー従来の広告媒体の構造が変化している中で、SNSや動画などネット広告の市場拡大が続いているよね。

 ネット広告の会社は全般的に好調だけど、中でも出稿が増えている動画広告への対応が早かったところがいいような印象があるかも。FacebookのニュースフィードやLINEのタイムラインに流れる動画が多くなっていて、テキストや写真と一緒に見られるから消費されるスピードが速い。テレビCMのように同じ広告を何カ月も引っ張ったら飽きられるから、大量に生産しないといけない。

 こんな流れで、ネット広告の会社で新しく動画広告制作の子会社や部門を立ち上げる会社が増えているよね。VOYAGE GROUP(3688)は昨年9月に動画広告のCMerTVを買収したし。アライドアーキテクツ(6081)オプトホールディング(2389)アドウェイズ(2489)なんかも動画広告への取り組みを進めている。

ーーeコマース関連はどう?

 中小型の銘柄で業績の好調さが目立つのはHamee(3134)かな。スマホやタブレット端末用の小物、アクセサリーのネット販売を手掛けていて、そこで蓄積したノウハウをもとに、在庫管理など販売側の会社向けのシステムも展開している。好調の原因は、iPhone向けのスマホケース「iFace(アイフェイス)」が売れまくっていること。「女子高校生はみんなiFaceを使っているじゃない?」というくらいヒットしているよ。ただ、ヒットはいつか終わるだろうから、会社側としてはそれに備えてシステム事業を伸ばそうとしているみたい。

 大手では、ヤフー(4689)がアマゾン、楽天の後塵を拝している「Yahoo! ショッピング」を伸ばそうとしていて、投資を増やしている。2013年からすでに月額出店料、売り上げロイヤルティを無料化していて費用が先行しているけど、広告で稼ぐ会社だから、ヤフーショッピングの販売手数料で儲けるというよりは、決済データを広告の配信最適化に生かしたいというのが狙い。

ーー四季報の取材をしている中で面白かった会社はある?

 歴代の担当記者ともネタ的に盛り上がっていたのが、「ついに時代がソケッツ(3634)に追いついてきた!」ってこと。「感性や感情のメタデータ」を作っている会社で、音楽や映画作品に含まれる要素を、「男性ボーカル」「~のコード進行を多用」「別れ」といった形でデータ化していくといったことをビジネスにしている。

 やっていること自体は面白かったんだけど、数年前までは時代の先を行きすぎていてぜんぜんうまくいっていなかった。それが今になって見直されているのは、リコメンド機能がWebのサービスとして普及してきたから。「いちいち検索などしていられないから好みの曲をリコメンドして欲しい」という若者のニーズに応えるために、ソケッツのデータが活用されている。

 ドコモの「dヒッツ」とか、「LINE MUSIC」、映像配信では「Hulu(日本版)」とか大手の顧客も増えてきているよ。音楽や映像が中心だけど、イベントや消費財にも分析対象を広げている。業績が上向いてきたから、継続前提の重要事象がこの前ついに解消された。

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