相場のトレンドは人が思う以上に大きく長く続く

米国株の過熱感は数字のマジック

田渕 直也
米国のブル(強気)相場はまだこれから?(写真:kasto/PIXTA)

 米国株(S&P500指数)は、リーマンショック後の2009年3月を底に、8年以上にわたる上昇トレンドを続けている。その間の上昇率はなんと264%、リーマンショック前の高値水準と比べても現在は54%高い(6月9日時点)。FRBによる利上げも、トランプショックも、ロシアゲート疑惑も、その上昇トレンドを遮ることはなかった。

 こんなに力強く、そして長く続く株価上昇トレンドになじみのない最近の日本株の投資家にとっては、なんとも落ち着かない気持ちになってもおかしくはない。はたして、揺り戻しが起きたりはしないのだろうか。

 ここで取り上げたいのは、①8年もの長期にわたる株価上昇は果たして正当化できるのか、②米国株は持続不可能な割高水準にまできているのではないか、という2点だ。今回は、このうち①に焦点を当ててみよう。

米国株の長期的動向と新たな長期上昇トレンド

 世界最大の投資家ウォーレン・バフェットが、株価が暴落する危機のさなかに米国の優良株を買い増して成功してきたことは有名だ。「バイ・オン・ディップス(暴落したら買え)」という言葉があるが、バフェットの場合は特に「バイ・アメリカ・オン・ディップス(暴落したらアメリカを買え)」である。

 事実、ニクソンショックやベトナム戦争の敗北以降、米国の覇権の終わりはつねに語られてきたが、こと経済に関しては、米国はどんな困難も克服し、株価は結局上がり続けてきた。第二次世界大戦後の米国株の歩みをざっくりと大きく分けると、
① 戦後~1960年代末ごろまでの長期上昇トレンド
② 1970年代の停滞
③ 1980年過ぎ~1990年代末までの長期上昇トレンド
④ 2000年代の停滞(ITバブル崩壊、リーマンショック)

 となる。つまり、20年程度の上昇トレンドと10年程度の停滞期の繰り返しになっているわけだ。

 では、今はどのように位置づけられるかというと、明らかに④の2000年代の停滞を脱し、新たな長期上昇トレンドを形成している真っ最中と考えて問題ないだろう。では、今度もやはり上昇トレンドは20年ほど続いて、2030年ごろまでは基本的に堅調な株価が続くのか、それとも今度は過去2回とは違って、もっと短命の上昇に終わるのか。

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