原油相場の軟調は、株価下落の予兆なのか?

2年前と状況は似ているが・・・

瀬川 剛
原油価格の下落は懸念だが、ほかに見るべき指標がある(写真:ssuaphoto/PIXTA)

 原油相場が軟調だ。6月20日、NYMEXのWTI(当限)は1バレル=43.51ドルと、昨年の11月14日以来7カ月ぶりの水準まで下落した。2月23日の54.45ドルからの下落率が20%を超えたことで「弱気相場に入った」と、悲観的な声が聞こえてくる。

 今からさかのぼること2年前、日経平均株価は15年6月24日に2万0868円の高値を付け(終値ベース)、TOPIXは1カ月半遅れて8月10日に高値を付けた。サマーラリーに沸いていたわけだが、外に目を向けると歴史的な活況を続けていた中国株が波乱局面に移行し、原油相場も6月初めの60ドル台から8月下旬には40ドル割れの水準まで下落。グローバルマネーの変調を示すサインがいくつも点灯していた。

 こと原油に関しては当時と似たような相場付きを示しているだけに、気にする向きが増えてくる可能性が高い。7月以降の日本株の動向を考える上では、原油相場の軟調をどう解釈するかが重要だろう。

 あくまで私見だが、足元の原油相場の軟調は今のところ気にする必要はないと考えている。過去数年の原油相場の急落局面と異なり、ハイイールド債(HYB)の利回りが低位安定を続けているからである。

 HYBの発行体の2割近くが資源関連企業とあって、同債券と原油相場には強い相関が見られた。原油が上がれば利回りは低下(債券価格は上昇)、逆に原油が下がれば利回りは上昇するという関係だ。たとえば、15年6月1日、WTIは60.2ドルでHYBの利回りは5.94%だったが、同8月24日にWTIが38.24まで下落した時にHYBの利回りは7.56%へとハネ上がった。WTIが26.21ドルの安値を付けた昨年2月11日にHYBは10.10%という歴史的な高利回りを記録している。

 だが、今年のHYBの利回りは6月2日に5.42%という年初来の最低水準を付けた後も5.50%近辺で推移している。米国や中国に関する弱めの経済指標や原油市況にも、ほとんど反応を示さないのである。資源関連企業の財務に対する不安はまったく高まっていないようだ。

 こうした事態こそ「バブル」という見方があるのは承知している。いずれ、HYBがリスクマネーの変調のシグナルを発信する局面が到来するだろうが、今がそうした状況ではないのも事実だ。少なくとも、原油の下落を起点に、15年の夏のように世界の株式市場が波乱に見舞われる可能性は小さいと考えている。

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