相場は波乱でも「稼げる会社」には上値余地

海外勢が買う銘柄の共通項

森川 郁子
外国人投資家の持ち株比率が高まった20銘柄の株価は15年6月から約2.3倍に上昇
 日経平均株価は2万円を維持しているが、商いは盛り上がりを欠く。メインプレーヤーである外国人投資家の売り越しも気になるところだ。大和証券の石黒英之シニアストラテジストに今後の株式相場見通しや投資の注意点などを聞いた。

ーー日経平均株価は2万円台を維持していますが、市場エネルギーは乏しい状況です。

 現在の株価水準は適正とみている。商いが膨らまないのは、投資家が買い参戦していない証左だ。海外勢も4月から9週連続で買い越したが一服。足元は3週連続で売り越しに転じている。「日経平均の株価収益率(PER)が(現在の14倍台前半から)15倍台になれば、同平均は2万1000円まで上昇する」との見方も少なくないが、はたしてどうなのか。

ーー株価上昇でPERが高くなる環境にはないと見ているのですね。

いしぐろ・ひでゆき●岡三証券を経て大和証券へ入社。テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」コメンテーターなどメディア出演多数。

 日本株のPERは米国の長期金利との相関が高い。同国景気が良くなると日本からの輸出が増加。金利上昇で円安ドル高も進んで輸出企業には追い風が吹き、株価上昇にはずみが付くという構図だ。つまり、日本株は景気敏感の側面が強い。

 「米国の景気実態の底堅さを背景に金利が上昇し、日本株も堅調に推移する」のがメインシナリオ。だが、金利上昇見通しが修正を迫られることもありうる。(1)景気実態はむしろ減速、(2)大規模なインフラ投資などトランプ大統領の打ち出した政策の実現が流動的、(3)商品(コモディティ)価格の下落で期待インフレ率が低下、がおもな要因だ。

 特に景気実態の減速は顕著である。米国の購買担当者景気指数(PMI)は5月まで4カ月連続で低下した。新車販売は米国だけでなく、欧州や中国でも減速基調だ。コモディティの値下がりは中国の需要減退の影響が大きい。

ーーしかし、米国連邦準備制度理事会(FRB)は9月にもバランスシートの縮小に着手する見通しです。

 米国の金融政策のカジ取りは今年後半の株価の行方を左右する大きなポイントだ。FRBのイエレン議長は8月の米国ワイオミング州の「ジャクソンホール会議」でバランスシートの正常化に言及する公算が大きい。しかし、景気実体が良好とは言えないにもかかわらず引き締め政策を継続すれば、マーケットはそのギャップに驚くはず。株式相場は8~9月に転機を迎えそうだ。

 米国金利はいったんハネ上がるが、それは一過性のものにとどまるだろう。「ショック安」ともいうべき株式相場の下落に見舞われることで、FRBは12月の利上げ見送りを余儀なくされるかもしれない。

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