米国、債務上限引き上げ問題で9月危機到来!?

トランプ政権、デフォルトの瀬戸際

岡田 晃
(写真:Tanarch/PIXTA)

 ロシアゲート疑惑、幹部の相次ぐ辞任・解任、そして人種差別を事実上擁護する発言・・・。混乱の度を増す一方のトランプ政権の前に、今度は債務上限引き上げ問題という壁が立ちふさがっています。この問題は最悪の場合、米国がデフォルト(債務不履行)と政府機関の閉鎖という2つの危機を迎えることになり、金融市場を混乱に陥れる恐れがあります。トランプ政権はいよいよ正念場に立たされています。

 米国では政府の債務拡大に歯止めをかけるため、上限額が法律で定められています。これまで財政赤字拡大と国債発行増加につれて債務残高は年々増加しており、それにつれて債務上限も毎年のように引き上げられてきました。現在の債務上限額は約19兆8000億ドルです。

 しかし債務残高はすでに今年春からその上限に達しており、9月末までに議会が債務の上限を引き上げないと新たに国債が発行できなくなり、借金も返せなくなるという状況になっています。借金が返せなくなれば、デフォルトという事態となります。そのためムチューシン財務長官は7月末、議会指導部に対し上限を引き上げるよう求める書簡を送りました。

 債務上限引き上げは財政健全化の観点からは好ましいことではありませんが、デフォルトを避けるためには議会は無条件でこれを認める必要があります。しかし現実はそう簡単ではなさそうです。与党・共和党と野党・民主党の対立、共和党内の保守強硬派の存在、議会とトランプ大統領の対立ーーという3つ巴の対立の構図があるからで、これに2018年会計度(2017年10月1日~2018年9月30日)の予算審議が絡んできます。

 まず来年度予算の問題から。米国では10月1日~翌年9月30日が連邦政府の会計年度になっていますので、2018年度予算はこの9月末までに成立させる必要があります。それに間に合わなければ暫定予算を編成しなければなりません。つまり9月末は債務上限引き上げと来年度予算の2つのデッドラインなのです。

 予算はもちろん議会の議決事項ですが、日本と違って米国では政府には予算提案権がなく、議会が予算を編成し議決します。そこで与野党の間で激しい議論と駆け引きが行われるわけですが、来年度予算ではトランプ大統領が「メキシコ国境の壁建設」を予算化するよう議会に求めています。しかし民主党は認めないでしょうし、トランプ大統領の政策全般や一連の言動に反発を強めています。その対立が債務上限引き上げ問題の合意を遅らせるおそれがあるのです。

 対立は与野党間だけではありません。共和党内の保守強硬派は大幅な歳出削減が持論で、それを債務上限引き上げの条件とすることを主張しています。この保守強硬派グループは下院の共和党議員(240人)のうち30~40人程度ですが結束力が強く、これまでもオバマケア見直し法案に反対して同法案の採決断念に追い込んだ“実績”を持っています。党執行部が債務上限引き上げ問題や来年度予算で民主党と妥協すれば造反も辞さない構えです。

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