レンジ相場を抜けてさらに円安は進むか?

近々内定の次期FRB議長人事が鍵

田渕 直也
(撮影:尾形文繁)

 今年に入ってからドル円為替相場はおおむね108~115円のレンジ内を往来し、大きなトレンドが生まれていない。ただし、レンジ相場は次のトレンド相場へ向けた充電期間とも考えられるので、そろそろ次のトレンドがどのようなものになるかを考える時期に来ているのかもしれない。

 相場の予想は難しいものだが、特に為替の場合は、相場の方向を決める短期的な要因と長期的な要因が、往々にして相反するものとなりやすいことが話をややこしくするという特徴がある。今回は、そのうちの短期的な要因について焦点を当ててみたい。

為替相場は実質金利に大きく左右される

 為替相場の短期的な動向を決める最大の要因は2国間の金利差であろう。金利差といっても、どの期間の金利を比較すべきか、名目金利か実質金利か、といった議論はあるが、一般的には実質長期金利差を見るのが最も適切だと考えられる。

 実質金利とは、物価上昇分を除いた金利ということである。この点についても、実際の物価上昇率を使って計算するのか、それとも物価連動国債の利回りを用いるのかなどいくつかの方法がある。物価連動国債は物価上昇分だけ元本が増加する債券なので、将来の物価上昇はそれでカバーされる。したがってその利回りは、投資家が予想する「将来の物価上昇を除いた実質的な金利」に等しくなると考えられる。さらにいうと、ドル/円の場合であれば、円金利の動きはほぼいつも米国金利の動きより小さいので、ドル金利の動きを見ておけば方向性は十分につかめる。

 そうした観点から、米国10年物の物価連動国債(TIPS)の利回り(=実質長期金利)とドル/円の為替相場を比較したものを見てみよう。為替相場が米国実質金利の動きに先行している期間も見られるものの、方向性はおおむね一致している。ここ2年程度に限ってみれば、連動率はかなり高い。簡単にいえば、ドル/円レートは、米国の実質長期金利の動向に大きな影響を受けていることが分かる。

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