食品トレーの最大手、エフピコの快進撃

中食ブーム、エコブーム追い風にシェア拡大に拍車

広瀬 泰之

中食ブームやエコブームが追い風となって、食品トレー最大手・エフピコの快進撃が続いている。

エフピコという社名の由来は、福山(F)パール(P)紙工株式会社(Co)。もともとは広島県福山市発祥の地方企業で、1999年までは先発、最大手だった中央化学(JASDAQ・7895)の後塵を拝してきた。

食品販売店の要望を商品化

スーパーのニーズを取り込んで開発を進める

ところが、機能性製品開発と原価低減策という2つの施策がエフピコを急成長させる。2000年に中央化学と肩を並べ、翌年以降は業界トップに立った。

エフピコの機能性製品は、顧客である食品スーパーの総菜売り場や、持ち帰りすしなどの意見を取り入れて開発されている。たとえば、本体とふたとの密閉性を高めることで汁漏れを防止できるトレーは、液体を多く含む総菜用として開発された。本体に滑り止めの溝を付けたトレーは持ち帰りすしなどで使われることを想定している。この他にも、ふたを開けるときに指を傷つけにくい加工を施したり、ふたの一部に空間を作って開けやすい形状にしたり、と細かい工夫を積み重ねてきた。

毎年、東京ビッグサイトで開かれるエフピコの展示会(=写真)では、食品スーパー店頭を模したブースを作り、総菜、鮮魚、精肉などの部門別に、便利な食品トレーの使い方を展示している。食品スーパーの仕入れ担当者がこの展示を見て、そのままお店で応用できるようにしているのだ。

スクリュー式容器は総菜向けなどで用途拡大を見込む

今年の展示会で、目玉になった新製品が2つある。一つは、飲料用PETボトルのようにスクリュー式のふたがついた総菜用のトレー(SQタイプ=写真)である。従来品以上に汁漏れ防止効果が高くなることに加えて、消費者がその食品を何回も取り出すことができるので、総菜向けや漬け物向けなど幅広い用途拡大が見込まれている。
 もう一つは、マイナス40度から110度まで対応できる高発泡弁当トレー(マルチFP)だ。このトレーを使えば、冷凍弁当として流通販売することも、コンビニの店頭でレンジ加熱することもでき、弁当製造業者にとっての利便性が高まる。冷凍弁当はまだ一般化されていないが、将来的には介護施設や病院の給食、学校給食などへの展開も考えられると言われている。

原料使用量減が利益を生む

このマルチFPは、発泡率が高いので食品スーパー側にもメリットがある。容器包装リサイクル法では、エフピコのような食品トレー製造業者だけでなく、販売した小売店もリサイクル負担金を払う義務を負う。大手スーパーでは年間数億円を越える規模になる。この負担金は従量制なのでトレーの発泡率が高くなれば、同じ大きさのトレーを使っても支払う負担金を軽減できるのだ。

エフピコでは、従来品よりもさらに発泡度を高めた軽いトレーの開発に余念がない。発泡度を高めて同強度の製品を作ることができれば、トレー原料の使用量を削減でき、原価低減が進むからだ。同時に、原料を安価な素材に切り替える研究も進めている。その結果、10年3月期では、トレー軽量化と素材の切り替えにより経常利益を20億円押し上げた。

エフピコが進めるもう一つの原価低減策は、トレーリサイクルだ。エフピコでは全国の食品スーパー店頭などにある7000カ所以上の回収箱からトレーを回収し、自治体などによる回収済みトレーと合わせて再生トレー「エコトレー」を生産している。「エコトレー」は全国の自治体でエコ製品として認定を受けていて、それがさらにシェアを高めるという好循環を招いている。

ひと口に、食品トレーと言ってもその材質はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなど多岐にわたる。再利用する際には、エフピコのリサイクル工場で、材質別に選別する工程が必要になる。エフピコでは、その分別作業に障害者雇用を進めている。

透明容器は、外見からは見分けがつきにくいため、これまでリサイクルが遅れていた。だが、エフピコでは、近赤外線による識別機を導入し08年から透明容器の全面回収を始めた。エフピコが製造したトレー枚数に対して、回収されているトレー枚数はおよそ3割。ナフサなどの原料から新たにトレーを製造する場合と比較して、経済性と環境負荷軽減という課題を両立させている。

こうしてエフピコでは、機能性製品の開発と素材開発やリサイクルによる原価低減によって、体質の強化を進めてきた。トレー生産工場、リサイクル工場ともに北海道から九州まで拠点整備を進めていて、食品トレーの国内シェアは3割近いと見られる。それでもエフピコは手綱を緩めずに、M&Aによるシェア拡大も模索している。今年10月には包装資材のインターパックを、12月には鶏卵パック生産のダイヤフーズを買収する。エフピコは、総菜や弁当用トレーのシェアは高いが、農産物、水産物向けではまだ開拓余地が大きい。「海外展開も将来は考えたいが、今はまだ国内でのシェアを高めることで利益を追求できる段階だ」(池上功常務)。中食需要増加とリサイクルという命題が追い風となり、エフピコの快進撃は続きそうだ。
 

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