サンデン、欧州で稼ぐ、得意先は欧米車勢

カーエアコン用コンプレッサーで世界シェア25%

松浦 大

カーエアコン用のコンプレッサーで世界シェア25%を誇るサンデン。熱交換機器を強みとする群馬県地盤の独立系自動車部品メーカーだ。主要な取引先は、系列の壁が厚い日系メーカーではなく、仏プジョーシトロエンや独フォルクスワーゲン、ルノーなど欧米勢であることが大きな特徴だ。

ユーロ安による欧州車好調が追い風に

欧米の完成車メーカー向けを得意先とするだけに、業績は為替変動に極めて敏感。今回の円高ドル安、円高ユーロ安の流れは、多くの輸出関連企業同様に向かい風の厳しい環境だ。加えて、欧州での販売刺激策や買い替え需要振興策も打ち切りとなった。同社が2010年5月に発表した期初の業績見通しでは、営業利益は前期比横ばい程度にとどまると見ていた。

しかし、8月5日発表の第1四半期業績は急回復。実は、主力取引先のプジョーシトロエンやフォルクスワーゲンは、欧州内での販売は低迷したものの、ユーロ安を追い風に新興国向けの輸出を増やしている。特に中国では、各社が単月で過去最高の販売台数を更新している。欧州車メーカー向けにフランスとポーランドで現地生産、納品しているサンデンは、円高の影響で売上高や営業利益が為替換算で目減りするものの、輸出増の欧州車メーカーへの出荷量拡大が追い風になっているという。

もう一つの主力事業である自動販売機や店舗用の冷蔵ショーケースなどの流通機器も、前期に実施した希望退職の効果に加えて、今期はコンビニエンスストアのam/pmがファミリーマートに看板替えをする際の店舗更新需要取り込みも貢献している。

ただ、会社側は「円高や欧州経済の失速懸念などを理由に依然として今期業績の見通しには不透明な部分が大きい」として、第1四半期業績発表時に、通期業績予想を一時的に非開示とした。『四季報』秋号では営業利益100億円と、期初の会社計画からの倍増を予想。為替は1ドル=85円、1ユーロ=110円を前提としている。まもなく発表される第2四半期決算とともに、見直しとなるであろう通期の業績見通しに注目が集まる。

構造改革で400億円削減

08年9月のリーマンショックから始まった世界規模での景気後退は、日系車メーカーよりも欧米車メーカーに深刻な影響を与えた。拡大路線を走ってきたサンデンも、取引先の欧州車メーカーの失速により業績が急悪化。08年3月期は営業損失61億円、最終損失308億円に転落した。

危機に陥ったサンデンは「できるだけ早い時期に黒字体質にしていきたい」(野澤昭)と構造改革に乗り出す。全社的に経費の大幅見直しや設備投資の凍結、従業員の給与カットを実施。さらには赤字が続く流通機器部門を中心に300人の希望退職に踏みきった。その結果、前10年3月期は400億円近い経費削減に成功、営業黒字化を達成した。今期も経費抑制策を継続し、業績回復基調が続く見込みだ。

今11年3月期からの中期経営目標では、14年3月期までに売上高3000億円、経常利益300億円を掲げる。先進国向けには環境配慮型、新興国向けに低価格品のコンプレッサーを重点的に生産していく計画だが、目標達成に向けてM&A実施も考慮に入れるなど、積極策に打って出る構えだ。

残る課題は生産拠点の再構築。需要が回復傾向にあることから、抜本的に見直す計画だった海外生産拠点の統廃合は一時凍結となる公算が高い。下期業績の行方とともに今後の海外展開が注目される。

記事はオール投資執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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