ファーストリテイリング株から学ぶ教訓

「好調」より「絶好調」、市場は常に上を求める

人気銘柄というのはいつの相場でも登場するが、その人気ゆえに全体への影響度も高くなる。市場で注目されているファーストリテイリング(9983、以下FR)もそのひとつ。直近動向から浮かび上がった4つの教訓を見ていこう。

まず、ごく最近のニュースから。①3月16日、世界最大店舗「ユニクロ銀座店」開店、②同29日、フォーブス誌「日本の富豪」番付で柳井正会長兼社長が第1位、③同30日、時価総額が初の2兆円乗せ、④同31日、2011度株価上昇率が日経平均採用銘柄中トップ。

③と④は市場内部での話題だが、相場的な関心度が高いものではない。①、②となると、「週刊誌的なネタ」と言っていい。 

教訓その1=大幅に上昇した銘柄が一般ウケするネタで大騒ぎされるようになると、要警戒ゾーンに入る。FR株価は年初から4割近くも上昇していた。値動きに惹かれて、事情をよく知らない投資家がこうした浮かれた材料で参戦している可能性もある。

次に、同社が4月3日に発表した3月の月次販売を見てみよう。前年比5.1%増と4カ月連続のプラス。順調な推移だが、市場は「大震災時の反動を考えると伸び率は過少」(情報筋)と判断した。発表翌日には売りで始まって今回の大幅安につながった。教訓その2=高値圏では「好調」より「絶好調」が求められる。

ところで、足元の4割高。株価チャートをみると、直線的な45度の上昇角度。いささか異様なパターンだが、背景には外国人投資家の買いがあったのかもしれない。「日本株組み入れを始めた海外ファンドにとってFRは欠くことのできない銘柄」(市場筋)という。海外勢の買い付けが継続していたのだとすれば、このような異様な形になりやすい。「FRは日本のアップル」(同)との声もある。教訓その3=構造的な需給変動は、株価の動きをイレギュラーにする。

乖離率は黄信号

「この銘柄が日経平均採用銘柄であること。それも日経平均の変動に対する寄与度が最も高いこと。この2つが株価上昇に影響している」との説もある。「日経平均の上昇を演出するには、このFR(他にはファナックやソフトバンクなど)の株価を持ち上げるのが効率的」という説だが、これには「今どき株価操作めいたことができるわけがない」(先物関係者)といった反論もある。

筆者はどちらが正しいのか、きっちりと判定できないが、そうした通説をも織り込んで株価が形成されていることからみて、通説を無視しないほうがいい。教訓その4=市場の通説は疑うべし、しかし無視すべきではない。

最後に上のチャートを見て欲しい。このFRの株価には、すでに移動平均線との乖離率などテクニカルな過熱信号が灯る。それに逆らっての上昇持続には限界があった。しかし、外国人投資家の組み入れが今後も続くようなら復活も早い、という期待もある。日経平均の先行きにも影響があるだけに、どんな投資家にとっても無関係ではいられないだろう。

講師=岩本秀雄(いわもと・ひでお)/ストックボイス副社長。日本証券新聞編集局長などを経て現職。30年間、激動の株式市場を見続けてきた。

※記事はオール投資執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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Fリテイリ (9983)

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