資生堂、国内トップを守り抜けるか

国内続落に歯止め 苦戦の専門店で新路線

長瀧 菜摘
駅ビルや商店街を中心に展開している化粧品専門店。資生堂、コーセー、カネボウ化粧品など、いくつかのブランドが店内に併存する

「最も期待していた改革だ」──。11月に行われた、全国化粧品小売協同組合連合会の年次会合で山口喜兵理事長は、異例にも、個社名を挙げて資生堂の新専門店政策を高く評価した。さらに、資生堂以外の化粧品メーカーのトップが居並ぶ前で、「この大英断に応え、いっそうの拡売に努めることを約束する」とまで口にした。資生堂が10月に公表した新路線は、メーカー、流通業者を問わず、化粧品業界に波紋を広げ始めている。

資生堂の国内での化粧品販売は長年、苦戦が続いてきた(上図)。海外事業の成長が業績を牽引してきたが、前2013年3月期は欧州の景気低迷、反日デモに伴う中国での不買運動などが直撃し、国内外とも低迷。四半期決算の発表ごとに業績予想の下方修正を繰り返した。

量販店の台頭で専門店は縮小の一途

資生堂復活へのカギは、国内事業の底上げ、中でも大苦戦する化粧品専門店販路の立て直しにあることは間違いない。1990年代、国内売上高の約40%を占めていたが、現在では同20%強に縮小している。

専門店の多くは、商店街や駅ビル内にある個人経営店で、資生堂は約1.1万店を有する。起源は同社が90年前に立ち上げた「チェーンストア制度」。契約を結んだ専門店に自社系列販社から製品を卸すほか、店頭販促物の提供、接客教育を受けた美容部員の派遣などを行う。資生堂は全国に販売店網を張り巡らすことで、業界トップの地位を築いた。

ところが97年、再販制度廃止を機に化粧品は価格競争時代に入り、ドラッグストアなど量販店が台頭。専門店の強みであるカウンセリングを敬遠する女性も増え、専門店への客足は遠のいた。資生堂の専門店専用ブランド「ベネフィーク」の売上高は、00年代初頭のピーク時の6割程度に縮小し、現状では正社員、契約社員として抱える美容部員の人件費が重荷となっている。業界アナリストはこぞって「美容部員の見直しが急務」と指摘する。

資生堂は、3月に社長に復帰(会長と兼務)した前田新造氏が「聖域なき改革を行う」とし、その約半年後の10月末、中間決算発表と同時に「新専門店政策」を打ち出した。まず示されたのは、「ベネフィーク」の取引体系の変更だ。販売価格の70%だった店の仕入れ値を、14年4月から一律63%に引き下げる。実績に応じて店にペイバックされるリベートの算定基準も、本部社員も計算に手間取る複雑な体系から簡素化し、「あとどれくらい売れば次の段階に上がれるのか」を各店の経営者が把握しやすい形にする。隔月だったリベートの支払いも、毎月に変更する。

狙いは「各専門店が独自の路線で投資をしやすくなるようにすること」(前田社長)。仕入れ値が下がれば、店側の利幅が厚くなる。毎月リベートが入ることで、資金繰りにも余裕ができ、改装投資などへの余力が生じる。

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