しまむら、郊外から都市部へ──小型店戦略の成否

イオン、ヨーカ堂にも出店

秦 卓弥

「やっぱりしまむらは安いわ」──。15分前倒しで開店した店内に、客が次々と吸い込まれていく。通常より2台増やした7台のレジ台は即フル稼働となった。

2013年11月に開業した「しまむらショッピングプラザ鎌ヶ谷店」(千葉県鎌ヶ谷市)。同時開業の、セブン&アイグループが開発したSC(ショッピングセンター)には、低価格衣料品専門店のしまむらがテナントとして入居している。核テナントのイトーヨーカ堂は食品売り場が主体で、衣料品を求める客は、しまむらが一手に引き受ける。

ヨーカ堂がしまむらに衣料品販売を任せる形で出店をしたのは今回が初めて。これまで衣料品専門店がGMS(総合スーパー)の顧客を奪ってきた経緯を考えると、両社が手を組むのは、異例にも思える。とりわけ、しまむらは長年争ってきた最大の競合であり、流通関係者も「仇敵を迎え入れるとは」と感慨深げだ。

しまむらは、11年に広島のイズミや滋賀の平和堂などのSCやGMS内への展開を開始。13年9月には、イオンの子会社となったダイエー内にも初出店を果たし、セブン&アイとイオンという国内2大流通グループを陥落させた。

GMSは衣料品の販売額減退が続き、発注ロットの縮小から仕入れコストが上昇。かつての敵であったしまむらをテナント導入せざるをえなくなった。イトーヨーカ堂の亀井淳社長は「しまむらの集客力には期待している」と誘致の理由を語る。

加えて、GMSだけでなく、12年には大分や埼玉の地方百貨店、またファッションビルの「津田沼パルコ」(千葉県船橋市)にも出店した。高実績を背景に、13年11月にはパルコで2店目の出店も行っている。出店を加速させたいしまむらにとって、新規立地への出店は願ってもない話だ。「以前ほど悪者と思われなくなったのだろう。家賃交渉も進んでいる」(東日本エリアの店舗開発を統括する開発1部・櫻井浩之部長)。

販管費の一段削減で都市部多店化を可能に

低価格と1店舗当たり4万にも及ぶ品ぞろえを武器に、主婦を中心に高い支持を得るしまむら。同社の今14年2月期の売上高は5000億円を突破する見込みで、アパレル専門店ではファーストリテイリングと国内2強の一角を占める。

もっとも、円安による仕入れ原価上昇などが響き、今期の利益は冴えない。出店数も建築コスト上昇が響き全業態で50店と、期初計画の70店から下方修正している。

逆風下、出店の巻き返しを担うのが、冒頭のGMSや商業施設、百貨店などへの小型店舗の出店戦略だ。

しまむらは1953年に創業し、地方を中心に、主婦が自転車で通えるような住宅地や郊外ロードサイドなどに1000平方メートルの大型店を大量出店して成長を続けてきた。しかし、現在、主力のしまむら業態は、ユニクロの国内店舗数の1.5倍以上の1299店舗(13年12月)を全国47都道府県で展開する(図)。郊外立地は飽和状態にも映る。

それでも、野中正人社長が05年の就任以来掲げてきた「しまむら2000店」の旗印を降ろさなかったのは、小型店出店を最優先の経営課題として取り組んできたためだ。

07年には山手線内で初となる「高田馬場店」(東京都新宿区)をピーコックストアの2階に出店。標準店の半分の約600平方メートルの売り場で、都心攻略の実験を繰り返した。

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