振れ大きい相場続く、米雇用統計次第で巻き戻し再開も

米国の金融政策に対する市場の見方に揺れ

1月8日、日本株やドル/円は、新年に入って振れの大きい展開が続いている。写真は昨年11月、都内で撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 8日 ロイター] -日本株やドル/円は、新年に入って振れの大きい展開が続いている。不安定化の要因は、米金融政策に対する市場の見方が揺れているためだ。

量的緩和を縮小することは決まったが、そのペースや、その先の利上げの時期など不透明な部分が依然として多い。昨年末までに膨らんだリスクオン・ポジションの巻き戻しはまだ一部とみられており、10日発表の12月米雇用統計次第では、もう一段のアンワインドもあり得る。

<巻き戻しはまだ一部>

日経平均<.N225>は急反発。前日比300円を超える上昇となり、3日ぶりに1万6100円台を回復して引けた。ドル/円も4日ぶりに105円台を付けている。新年入りして以降、続いていたリスクポジションの巻き戻しが一服したことで、幅広く買い戻しが入ったという。東証1部売買代金(株式)も2兆4832億円と膨らんでいる。

ただ、調整が完全に終了していない可能性もある。「前日までの2日間で約1万枚売り越した欧州系証券は、前年11月中旬から前年末まで4万数千枚買い越していた。ポジション巻き戻しはまだ一部に過ぎない」(銀行系証券)という。

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した昨年12月31日時点における投機筋の円建て日経平均先物ロングポジションは、4万2890枚とリーマン・ショック後の最高水準にある。

円ショートポジションも約8500枚減少したが、13万5200枚と依然としてリーマン・ショック後の最高水準だ。多少の巻き戻しで解消されるレベルではない。

新年に入って軟化したのは、日本株だけではなく、米株や新興国株も同じ動きだ。「グローバル投資家が昨年末までに積み上げた株買い・円売りなどリスクオン・ポジション全体の巻き戻し」(外資系証券)とみるべきだろう。米S&P500<.SPX>は7日、新年に入って初めて上昇したが、戻りはまだ鈍い。

<カギ握る米長期金利>

グローバル投資家にもう一段のアンワインドが起きるかは、週末の12月米雇用統計にかかっているとみられている。

非農業部門雇用者の増加数が、市場予想の19万6000人を大きく上回り、20万人水準となれば、早期の量的緩和縮小(テーパリング)の終了、そして利上げ時期が大きく近づくとの思惑が強まりかねない。

一方、市場予想を下回れば、テーパリングペースは緩やかになるとの見方から、リスクオン投資が再開する可能性がある。

「米株が不安定化したのは、米長期金利が3%台に乗ってからだ。FRBはテーパリングと利上げを切り離そうとしているが、雇用統計が予想以上に改善すれば、市場の利上げ警戒感は強まらざるを得ない」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、投資情報部長の藤戸則弘氏と指摘する。

相場の振れが大きい割にボラティリティはむしろ低下しており、市場全体に不安感が強まっているわけではない。日経平均ボラティリティ指数<.JNIV>は6日こそ上昇したが、ここ2日間は低下。水準も22ポイント台と2013年を通じた低位にある。

投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス(VIX)<.vix>も3日以降は低下している。

ただ、FRB議長がバーナンキ氏からイエレン氏に交代する過渡期であり、市場の米金融政策に対する不安感は高まりやすい。

グリーンスパン氏からバーナンキ氏への「禅譲」は比較的スムーズに行ったが、その前のボルカー氏からグリーンスパン氏への移行期には、新議長に対する不安感から米金利が急上昇した。

イエレン氏は現FRB副議長という立場にあり、未知の人物というわけではないが、FOMC投票メンバーにタカ派も増える新体制のなかで、どう舵取りをしていくかは、まだ不透明感が強く、マーケットの不安定さにつながっている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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