日立製作所、問われる祖業の成長戦略

火力分離で事業急縮小

前田 佳子
日立グループから分離する海岸工場に囲まれた日立事業所(中央)の一部も新会社傘下に

「品質は我々の生命」「目指す世界一の技術集団」

工場内にでかでかと掲げられたのぼり旗の下で、巨大なタービンは製造されていく。

タービンや発電機を生産する、日立製作所の海岸工場(茨城県日立市)は1930年の設立以来、日立のモノ作りを支えてきた心臓部である。東京ドーム13個分と広大なその敷地は、「創業小屋」や創業者の小平浪平の記念館を擁する日立事業所をぐるりと取り囲む(写真)。この海岸工場の大半が、2月1日にグループから切り離される。

三菱重工業と日立は2月1日に火力発電事業を統合する。長年のライバル同士が手を組んだ背景には、国内市場が頭打ちの中、規模拡大で海外市場を開拓する狙いがある。統合新会社の「三菱日立パワーシステムズ」は売上高が1.1兆円となり、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスに次ぎ火力発電で世界3位に躍り出る。ただし出資比率は三菱重工が65%、日立は35%のマイノリティとなる。中西宏明社長は「世界で戦うための統合で事業売却ではない」と強調するが、グループ全体で9000人が新会社へ移る。

当然、現場の動揺は大きかった。2012年11月の発表直後は「われわれはどうなってしまうのか」といった戸惑いの声が現場から数多く寄せられた。しかし統合準備が進むにつれて「日本連合で世界一を目指す、と現場は前向きにとらえるようになった」(長澤克己・日立事業所長)。中西社長は「新会社を日立は使い倒す」と公言しており、従来の社内調達が新会社経由に変わったにすぎないと説明する。一緒に仕事をする関係は維持されるため、できることは一体でやりましょうという雰囲気が醸成されているという。

現場の士気向上という難関はひとまずクリアしたが、残る最大の問題は火力分離後の電力事業の成長シナリオをどう描くのか、である。

成長託す原発と送配電 拡大のハードル高く

日立は子会社960社を擁し、インフラや鉄道、建設機械、高機能材料、家電など幅広い事業を手掛ける。その源流は鉱山で使われるモーターであり、日立製作所の社内カンパニーである電力システム社は祖業にほかならない。グループ売上高9兆円のうち、電力システム社の部門売上高は9046億円(12年度)。火力発電はうち6割弱を占め、事業分離後は規模が大幅に縮小してしまう。

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