冷たいFOMCに意気消沈、新興国通貨安も止まらず

FOMC声明では新興国への言及が一言もなし

1月30日、100億ドルの追加緩和縮小が粛々と決定され、声明文でも新興国について言及されないという米FOMCの冷たい態度にマーケットは意気消沈している。写真は都内の外為トレーダー。2010年9月撮影(2014年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 30日 ロイター] -100億ドルの追加緩和縮小が粛々と決定され、声明文でも新興国について言及されないという米連邦公開市場委員会(FOMC)の冷たい態度にマーケットは意気消沈している。

大幅利上げにもかかわらず、下げ止まらない新興国通貨の売りにも拍車を掛けた。日本株も大幅安。ただ、強い米経済との整合性を保ったことで、中長期的には評価されるとの指摘もある。

<新興国に一言も触れず>

市場に失望感が広がったのは、FOMC声明では新興国への言及が一言もなかったためだ。米経済が堅調ななかでは100億ドルのテーパリングは仕方ないとしても、新興国を中心にマーケットが混乱するなか、せめて新興国に関する文章が声明文に入っているとの期待があったが、見事に裏切られた。しかも全員賛成での決定だ。

「次期FRB(米連邦準備理事会)議長に就任するイエレン氏を含め、現在のFOMCはマーケットに対してやさしいとのイメージが大きかったことから、その意外に冷たい態度が嫌気された」(ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏)という。

FRBが流動性を吸収し始めたわけではなく、12月分と合わせ合計200億ドル減らしたとはいえ、依然として月650億ドルの資金を供給している。景気判断も上方修正された。だが、米金融緩和政策がピークを越えたことも事実で、大幅にメンバーが入れ替わる新FOMC体制の運営姿勢がまだ不透明であることも加わって、今年に入り、マーケットはネガティブ材料に反応しやすくなっている。

投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は29日の市場で9.81%上昇し、再び17ポイント台を付けている。米金融当局のマーケット・フレンドリーな態度があったからこそ、市場は流動性相場を満喫できていただけに、ちょっとした変化とはいえ、マーケットは過敏に反応している。

<新興国通貨安、「打つ手なし」との声も>

さらに大幅利上げを実施したにもかかわらず、トルコで通貨リラの下落が再び始まったことで「打つ手なしのムードが広がった」(岡三証券シニアストラテジストの大場敬史氏)という。トルコのISE100株価指数<.XU100>も続落し、2012年7月以来の安値水準となった。インド、トルコに続き、南アフリカ中銀も利上げを決定したが、通貨ランドは軟調なままだ。

前場の日経平均<.N225>は一時500円を超える大幅安となった。前日に400円上昇していた反動もあるが、投げ売りが出ているという。「海外ヘッジファンドなどが、昨年末までに積み上げたリスクオン・ポジションをさらに落としている。日本株の下げが突出しているのは、欧州系証券から大規模な裁定解消売りが出ているのではないか」(大手証券トレーダー)との指摘が出ていた。

三菱UFJ投信・戦略運用部副部長の宮崎高志氏は「昨年までのパフォーマンスが良かった分、日本株の下げがきつくなっている。ロング側にポジションが偏っている投資家が依然多いようだ。ただ、日本企業の業績はしっかりしている。米経済が順調である限り、いずれ上昇基調に戻るとみている」と話す。

<追加テーパリング実施を評価する声も>

FOMCが100億ドルの量的緩和縮小を前月に続き決めたことについては、市場で評価する声もある。大寒波による一時的影響とみられているが、市場予想を大きく下振れした12月米雇用統計以来、投資家の米景況感は揺れており、市場が抱くシナリオを崩すような形で、緩和縮小を見送れば、FOMCが米景気に懸念を持っているのではないか、という別な不安が浮上するためだ。

今回、個人消費と設備投資に関する表現が強められ、景気判断が上方修正されており、その中でテーパリングが見送られれば、米金融政策に対する不透明感が生じてしまう。「短期的な影響よりも中期的な影響を重視した判断は正しい」(前出の矢嶋氏)。

今後、次期FRB議長のイエレン氏が2月中に予定されているハンフリー・ホーキンス議会証言などで、FRBは市場にフレンドリーであることには変わりない、とのメッセージをうまく市場に送っていけるかが、リスクオフを止めるポイントになりそうだ。

大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は「2月からは米国では税還付が本格的に始まるので、資金需給が大変良くなる」と指摘。海外勢の売りが止まれば、国内の個人投資家の買いも加わって、日本株は再び上昇に転じるとの見方を示している。

(伊賀大記  編集:宮崎亜巳)

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