「拠り所」の米指標崩れ世界同時株安、打診買いもこわごわ

悪材料が続く中で、投資家心理はさらに冷え込む

2月4日、新興国問題への懸念が強まる中で、投資家の「拠り所」だった米経済にも不透明感が濃くなり、世界同時株安が進んでいる。写真は都内で撮影した株価ボード(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 4日 ロイター] -新興国問題への懸念が強まる中で、投資家の「拠り所」だった米経済にも不透明感が濃くなり、世界同時株安が進んでいる。米経済指標の下振れは寒波の一時的な影響との見方は多いが、悪材料が続く中で強気を維持することは難しく、投資家心理はさらに冷え込んでいる。

日本株には割安感が出始めたものの、下値めどが見えづらい中で、打診買いも限定的だ。

<米経済への不安>

米経済が堅調であることは、市場の強気派の「拠り所」だった。新興国で進む通貨安の背景には米量的緩和の縮小があるとみられているが、緩和縮小が決定されたのは米経済が堅調に推移すると米連邦準備理事会(FRB)が確信したためだ。量的緩和策が縮小される中でマーケットが多少揺らぐことがあったとしても、米経済さえしっかりしていれば、投資家はリスクを許容できる。

12月米雇用統計や前日発表された1月ISM米製造業景気指数など市場予想から下振れる経済指標が出ているのは、米国を襲った大寒波による一時的影響が大きいとみるエコノミストは多い。

実際、ISMの個別企業のコメントをみると「天候が物流を途絶させた結果、先週は多くの配送の遅れを経験した」(プラスチック・ゴム製品)など、悪天候の影響を指摘する声が目立った。

ただ、景気の先行指標であり注目度が高いISM製造業指数での下振れは「寒波の影響を除けば米経済は本当に堅調なのか」(外資系証券)という不安も生じさせた。景気指数や新規受注は下がったといっても、景気判断の分かれ目である50を上回り、米経済活動の拡大を示しているのだが、新規受注の低下幅が1980年12月以来の大きさとなるなど、先行きの不透明感を強め、投資家のリスクオフを加速させている。

「財政面の圧迫要因が後退する今年、米景気はしっかりと推移する見通しだ。失業率は低下し、設備稼働率も上がっている。新興国問題も現時点ではそれほど影響はないとみている。ただ、株安による逆資産効果などの影響がどう出てくるかはまだ読めない。堅調な米経済を示す指標が出てくるまでは、マーケットは神経質になりそうだ」とJPモルガン・アセット・マネジメントのエコノミスト、榊原可人氏は指摘する。

<押し目買いへの不安>

日経平均<.N225>は600円を超える下げ幅となり、1万4000円割れ寸前まで水準を落としている。世界同時株安に加え、為替市場でも一時、ドル/円が100円台まで下落し、リスク回避の売りが加速した。先物安が裁定解消売りを誘発したほか、現物市場でも幅広い銘柄が売られ、全面安の展開となった。

今回の下げ相場を主導してきたソフトバンク<9984.T>が切り返したが、打診買いの範囲内であり、本格的な買い戻しの勢いは弱い。東証1部売買代金は3兆円を超えたものの、値下がり銘柄数は全体の99%に達し、打診買いや押し目買いは入れても上値には慎重な投資家の行動が浮かび上がる。

「海外勢の売りに加え、信用取引の追い証(追加保証金)が発生している個人投資家の売りも出ている。値ごろ感が出た個別株には打診買いもみられるが、この下落相場の中では、本格的な買いは入れにくいようだ」(国内証券)という。

日経平均の下落率はベア相場入りのめどとされる10%を超えてきた。下値めどが見えにくくなっている中では「落ちるナイフはつかむな」という相場格言を無視して、逆張りに動ける投資家はまだ少ない。

外為市場では、昨年末までのリスクオン・ポジションの巻き戻しだけでなく、新規のショートポジションを構築する動きも出ているとされ、ドル/円の下げに拍車を掛けた。これまで下値メドとされていた101.50円を割り込んだ付近から、超短期のマクロ系ファンドがドル/円のショートメーク(新規ドルショートの構築)に入ったという。

<企業業績への不安>

日経平均は年初から2282円(14%)下落。昨年11月上旬からの上昇分をすべて吐き出したことで割安感も出ている。一時、16倍を超えていた日経平均の予想株価収益率(PER)は14倍台前半まで下落した。

「14倍は歴史的にみても安い。来期は1割程度の増益が見込まれ、予想1株利益を1100円としてみれば、PER15倍としても1万6500円程度は、日本株の実力の範囲」とニッセイ基礎研究所・金融研究部主任研究員の井出真吾氏は指摘する。

ただ、日本企業は稼ぐ力を回復させつつあるとはいえ、円安・株高効果がはく落しても、日本企業が業績拡大を続けることができるかにはまだ疑問が残る。

前日出そろったメガバンクの4─12月決算は業績好調だったが、株高による持ち合い株式の現存処理額の縮小などが主因で、本業の貸し出しは依然として苦戦中であることが明らかになった。

ホンダ<7267.T>は新興国を中心に市場環境が厳しいとして、2014年3月期の四輪車と二輪車のグループ世界販売台数計画を下方修正した。インフレや通貨安に対抗するために利上げを行う新興国では景気減速への懸念が強まっている。輸出企業も円安効果が低下する来期以降、増益基調を維持できるかはまだわからない。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアストラテジストの白木豊氏は「投資家は来期の企業業績に確信が持てなくなっている」と指摘。株価は、消費増税の影響や来期業績がみえてくる4月ごろまでは反発力が弱く、底練りの展開になると予想している。

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