焦点:日銀決定会合で輸出低迷など議論、シナリオ入念に点検へ

市場で追加緩和観測がくすぶる金融政策は?

3月10日、日銀は11日まで開催する金融政策決定会合で、輸出の低迷や消費増税の影響などについて点検する見通しだ。都内の日銀本店で昨年10月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 10日 ロイター] -日銀は10─11日に開催する金融政策決定会合で、輸出の低迷や消費増税の影響などについて点検する見通しだ。

これまでのところ全体として景気は日銀の見通しに沿って推移しているが、輸出の回復が後ずれしており、4月末公表の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)に向けてシナリオの入念な点検に着手する。市場で追加緩和観測がくすぶる金融政策は現状維持の公算が大きいものの、慎重に議論するとみられる。

足元の景気・物価について日銀は「これまでのところ2%の物価目標達成に向けた道筋を順調にたどっている」(黒田東彦総裁、2月26日衆院予算委員会・第3分科会での発言)とみている。物価は、日銀が目安とする生鮮食品を除いた消費者物価指数(コアCPI)が1月に前年比1.3%へとプラス幅を拡大。日銀内では想定よりもやや強めとの声が聞かれるなど、2%の物価目標の実現に向けて順調に推移していると判断している。

しかし、懸念材料は外需。日銀では現在、輸出について「持ち直し傾向にある」と判断しているが、1月の実質輸出は前月に比べて2.3%減と2カ月連続で減少するなど円安基調にもかかわらず輸出は勢いを欠いた状況にある。緊迫化しているウクライナ情勢や中国経済の先行きなど不透明感も強まっており、海外経済のリスクが日本経済に与える影響を慎重に点検する。

消費増税による駆け込み需要が想定よりも大きくなり、反動減が大きくなって長期化するリスクや、増税分を加えた物価上昇率が賃上げ幅を下回ることによる実質所得減少の影響も議論になりそうだ。

輸出の下振れ懸念が強まる中、4月30日に公表する展望リポートに向け、シナリオの入念な点検に着手する。日銀では外需について、米経済が回復し、中国経済に波乱がなければ、4月の消費増税以降は消費の減少を補う形で輸出が持ち直していくとの前提を置いている。輸出低迷が長引けば、設備投資への影響などを含めた景気回復のテンポや、ひいては物価上昇の足かせになる可能性がある。

日銀は、今後半年程度の間にコアCPIが1%台前半で推移し、その後は再びプラス幅を拡大させていくとみている。2%の物価目標の実現に向け、現段階で順調とみている道筋に死角がないか、本格的な議論を開始する見通しだ。

(伊藤純夫、竹本能文 編集:田巻一彦)

ReutersCopyright
copyright (C) 2017 Thomson Reuters 無断転載を禁じます

ページトップ