警戒される中国の信用収縮、リスクヘッジ需要で金価格は高水準

鉄鉱石や銅の輸入減少に警戒も

3月11日、マーケットでは、中国での信用収縮に対する警戒が強まってきた。写真は中国の国旗。北京で昨年7月撮影(2014年 ロイター/Jason Lee)

[東京 11日 ロイター] -マーケットでは、中国での信用収縮に対する警戒が強まってきた。同国では初のデフォルト(債務不履行)が発生、社債発行が減少し始めているだけでなく、担保としていた銅の価格下落にともなう資金繰り悪化も懸念され始めてきている。

2月の米雇用統計が良かったことで米経済には安心感が出たが、市場には慎重なムードも漂う。リスクヘッジ目的とみられるファンド勢の買いで金価格は依然高水準だ。

<担保としての銅需要が減少>

中国の2月の輸出は前年比マイナス18.1%と下振れたが、春節の影響や昨年の輸出に水増し分があったとの見方が多い。「輸出の下落率が衝撃的に大きく、10日の米株市場では最初リスクオフに振れたが、徐々に見極めが必要だとの見方が広がり、株価は徐々に下げ幅を縮小させていった」(楽天経済研究所シニア・マーケットアナリストの土信田雅之氏)という。

むしろ懸念されているのは、輸入の方だ。トータルでは前年比10.1%増と市場予想の8.0%を上回ったが、鉄鉱石や銅の輸入が今後減少するのではないかと警戒されている。中国経済は減速したとはいえ、2014年の成長率目標は7.5%。先進国よりはるかに高く、コモディティ需要も十分にあるが、先日、同国で初めて発生したデフォルトの影響が銅などの輸入に出るかもしれないという。

中国では鉄鉱石や石炭、銅など動産を担保として社債を発行したり、資金を借り入れる場合がある。しかし、今回のデフォルトの発生で、社債発行が縮小。クレジットの担保となっていた銅などの需要が減少するとの懸念が広がっている。実際、2月の中国の未加工銅輸入は前月比30%減少した。

こうした懸念を嫌気し、銅先物は10日のロンドン金属取引所(LME)で一時8カ月ぶり安値を付けたほか、上海先物取引所でも値幅制限いっぱいとなる5%の下落を記録した。銅価格が急落すれば、銅を担保とした資金調達は今後難しくなることから、市場では「資金繰りに困るところも出てくるのではないか」(国内銀行)との警戒が広がっている。

今回のデフォルトに対し、長期的にはポジティブな影響をもたらすとの見方もある。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは7日、今回のデフォルトでクレジットリスクが市場価格に反映されやすくなるとして、債券市場に規律をもたらし、市場の発展に寄与すると評価した。しかし、短期的にはクレジットの収縮などを招きかねない。

SMBC日興証券・投資情報室中国担当の白岩千幸氏は、デフォルト自体の影響も警戒されると指摘する。「デフォルトされた債券の影響が銀行などにとどまればいいが、信託商品などに組み込まれていた場合、個人投資家まで損失が及ぶことになる。そうなれば理財商品などへの不信感につながり、不安の連鎖が広がるおそれがある」との見方を示している。

<金の投機ポジションは4倍に>

上海総合指数<.SSEC>は11日の市場で小幅高。日経平均<.N225>も反発した。マーケットには、デフォルトの影響が広がれば、中国政府が対応してくれるとの期待があり、リスクオフの動きはまだ乏しい。ドル/円も103円台前半でもみあっている。構造改革に取り組むのは中国政府自身が掲げた今年の課題だ。

だが、個人の不安に火が付けば、中国政府としても、コントロールするのは至難の業だ。上海株は11日は小幅高だったが、2000ポイント付近の低水準で推移しており、底割れの可能性もある。人民元は歴史的な下落を記録したばかりだ。中国市場からの資金流出懸念も強くなっている。

一方、不気味に高水準を維持しているのが金価格だ。2月米雇用統計が市場予想を上回ったことは、ドル上昇要因であり、ドルの代替商品である金の価格は下落してもよかったが、NY市場で、金先物の中心限月4月物は年初より約100ドル高い1300ドル前半で高値圏での動きとなっている。

ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏は「ファンド勢が金のロングポジションを増やしている。ウクライナだけでなく、中国への警戒感からリスクヘッジとして買っているようだ」と指摘する。

世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールド・シェアーズの信託金残高は、812トンと約3カ月ぶりの水準まで回復。米商品先物取引委員会(CFTC)における大口投機筋の金先物ポジションは3月4日時点で約10万枚の買い越しと年初の約4倍に膨らんでいる。

(伊賀大記 編集:内田慎一)

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