増税懸念で反発力弱い日本株、過度な悲観をけん制する声も

海外投資家は国内勢よりも消費増税に警戒感が強い!?

3月13日、日本株は大幅安の翌日にしては反発力が弱い。中国の信用収縮懸念やウクライナ情勢だけでなく、来月に実施が迫った消費増税への影響が懸念されているという。写真は都内の株価ボード。2010年8月撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 13日 ロイター] -日本株は大幅安の翌日にしては反発力が弱い。中国の信用収縮懸念やウクライナ情勢だけでなく、来月に実施が迫った消費増税への影響が懸念されているという。ただ、駆け込み需要の反動は大きくないとの見方もあるほか、政策期待も残っており、過度な悲観をけん制する声も出ている。

<強い警戒感持つ海外勢>

中国で担保需要の減少が懸念されている銅の価格が前日、小幅ながら4日ぶり反発、上海総合指数<.SSEC>もプラスとなったものの、日経平均<.N225>は終値でプラス圏を維持することはできなかった。前日、短期筋とみられる先物売りに押され400円近い下落となり、ショートカバーも若干入ったが、買い手は乏しく、薄商いの中で、ズルズルと値を崩す展開となった。

中国やウクライナに対する懸念は日本だけが強いわけではない。米経済や米金融政策の不透明感も同じだ。それでも他国よりも日本の株価の上値が重くなっているのは、来月に実施が迫った消費増税への懸念が強いことが1つの要因になっている。

街角の景気動向を示す2月の景気ウォッチャー調査では、家計部門のマインド低下が目立った。2─3カ月先を見る先行き判断DIで家計動向関連は36.7と東日本大震災後の最低水準を記録。「駆け込み需要や賃金上昇への期待感よりも、増税によって実質所得が減ることへの懸念が支配的となっている」(クレディ・スイス証券)という。

景気や企業業績が緩やかながらも回復し、5.5兆円の景気対策など増税の影響を相殺するための政策を政府が決めているにもかかわらず、増税を前に消費者心理は急速に悪化している。増税をきっかけとしてデフレマインドが復活するのではないかとの懸念は市場でも少なくない。そうなればアベノミクスにブレーキがかかり、株高・円安の流れも逆回転をおこすかもしれないためだ。「海外投資家は国内勢よりも消費増税に警戒感が強い」(大手証券エコノミスト)という。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「消費者センチメントがかなり落ちており、消費増税を乗り切れるか不安が強まっている。増税後の落ち込みをカバーするための日銀の追加緩和も、黒田東彦総裁が強気な姿勢を変えなかったことで、期待がだいぶ後退してしまった」と話す。

<政策期待が下支え>

ただ一方で、過度な弱気に陥ることには批判的な見方もある。

SMBC日興証券チーフエコノミストの牧野潤一氏は駆け込み需要の反動は大きくないとの見方だ。「耐久財が駆け込み需要で増加しているが、テレビやエアコンなど輸入品が多く、それが減ったとしても国内総生産(GDP)に大きな影響は出ない。非耐久財は買いだめが効かないものが多く、需要は落ち込んでもすぐに戻るだろう」と述べている。

輸出が伸び悩む一方、設備投資は堅調だ。1月機械受注統計は12月の大幅減少の反動があったものの2桁増となり、事前予想を上回った。10─12月の平均から4%ほど増加しており、内閣府は「増加傾向」との判断を維持した。

また日経平均の予想PER(株価収益率)は15倍を割り込みバリュエーション面では割安感も漂う水準だ。消費増税の影響が懸念されるとはいえ、駆け込みとその反動は基本的にプラスマイナスゼロになる。デフレマインドの発生をうまく押えれば、年後半は米国などの景気回復の恩恵を受けることが期待されている。

政策期待も下支え要因だ。政府の大目標であるデフレ脱却のために、景気や物価が落ち込みそうになれば対策を打ってくるとの期待はマーケットで根強い。「この期待がはく落しないうちはアベノミクスへの失望は広がらず、日本株売りも強まらない」(三井住友アセットマネジメントのシニアストラテジスト、濱崎優氏)という。

東京証券取引所がまとめた3月第1週(3月3日─3月7日)の2市場投資主体別売買内容調査では、海外投資家が3637億円の買い越しとなった。買い越しは3週連続。消費増税の影響などを見極めなければならないが、年初から続いていた外国人投資家の日本株売りはいったん止まっている。

(伊賀大記 編集:佐々木美和)

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